天皇陛下の生前退位、“摂政”“公務減”ではダメな理由 「皇太子が…」のご真意

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 天皇陛下の生前退位をめぐる議論は、国会内での意見聴取へと舞台を移した。今月中旬には有識者会議が再開され、結論取りまとめへと向かう運びなのだが、陛下がかくも皇位継承に強くこだわられるのは、そこにある「思い」が秘められているからだというのだ。

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 友好親善を目的とした初めてのベトナムご訪問、帰途には昨年10月に亡くなったタイのプミポン国王を弔われるためにバンコクにも立ち寄られた両陛下。

「ご日程は6泊7日、まして日本と気候の異なる地域です。侍従職幹部は『両陛下は83と82になられ、お若い時のようにはいかない。侍医も絶えずご様子を拝している』と漏らしていました」(宮内庁担当記者)

 陛下が国民へ向け、生前退位のご意向を強くにじませた「おことば」を発せられたのは昨年8月8日だった。その後、官邸が有識者会議を立ち上げ、専門家らへのヒアリングを重ねてきたわけだが、ご退位自体への異論も多く、進捗状況に気を揉まれているのは本誌(「週刊新潮」)でも報じた通りである。

 おことばで口にされた「平成30年」の終わりまで残り1年10カ月。刻一刻と時間が削られていく中でご公務を全うされる陛下が、次世代に深く思いを致されているのは言うまでもない。折しも23日は、皇太子さまの57歳のお誕生日であった。

「これに先がけて21日に行われた会見では、皇太子さまも陛下のおことばに『心を揺さぶられた』と明かされ、『お考えを真摯に重く受け止めます』と述べられたのです」(同)

 いま一度、8月の「おことば」を振り返ってみると、

〈既に80を越え(中略)全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが、難しくなるのではないかと案じています〉

 そう吐露されながら、

〈天皇の高齢化に伴う対処の仕方が、国事行為や、その象徴としての行為を限りなく縮小していくことには、無理があろうと思われます〉

 また摂政を置くことについては、

〈この場合も、天皇が十分にその立場に求められる務めを果たせぬまま、生涯の終わりに至るまで天皇であり続けることに変わりはありません〉

 と、否定的なお考えを示されたのだった。

 ご自身の「老い」について陛下が言及されたのは、一昨年のお誕生日会見においてである。

「同じ年の終戦記念日、全国戦没者追悼式で、正午の黙祷前に陛下がお言葉を読み始めてしまうハプニングがありました。そうしたことが念頭にあったと思われ、『行事の時に間違えることもありました』『少しでもそのようなことのないようにしていくつもりです』と述べられたのです。また昨年末の会見でも、ご退出時に出口を間違われ、記者席の方へと歩み寄られる一幕がありました」(同)

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