天皇陛下の生前退位、“摂政”“公務減”ではダメな理由 「皇太子が…」のご真意

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■ご自覚を促すべく

 陛下のなさりようを長年にわたって拝してきた、さる関係者が明かす。

「ご自身に不可逆性の現象である“老い”が着実に迫っていることを、陛下は正確に自覚なさっている。だからこそお元気なうちに皇太子さまに譲りたいお考えなのですが、もう1つ、おことばでは決して明かされなかった理由があるのです」

 それは取りも直さず、皇太子ご夫妻の“お振舞い”だというのだ。

「皇位継承については、ご自身でしっかり見届けたいと強く思われています。というのも陛下からすれば、やはり皇太子さまと雅子さまのお振舞いはまだ物足りなく、もどかしさを覚えてしまうことが多い。ご心配のもとであるわけです」

 とはいえ、世間でいうところの“親心”とは大いに趣を異にするようで、

「ご公務を減らしてその一部を譲り渡されたり、あるいは摂政を置いたりといった対処法では、皇太子ご夫妻のご自覚は促せない。何より一日でも早く天皇皇后という唯一無二のお立場に就いてもらい、そのご身位に相応しいはたらきをしてほしい、と切に願われているのです」(同)

 続けて、

「かりに陛下が『上皇』となられれば、そのご活動にも制約が出てくるでしょう。それでも、実際に新天皇のお仕事を目の当たりにされた上で、至らない部分は差し障りのない範囲で折々にアドバイスをしたいとのお考えも持たれています。とりわけ陛下は、宮中祭祀について最も継承が難しいと考えていらっしゃる。ご自身も大変苦労なさったとのことで、そうした思いを繰り返させぬように、とのお気持ちもあるのです」

 次代を託される東宮ご一家について陛下は、お世継ぎの皇太子さまだけでなく、2004年から療養生活に入り、なお快復の途上にある雅子妃にも、ことのほか心を砕かれてきた。

「一般紙やテレビのニュースのみならず、週刊誌からスポーツ紙に至るまで、陛下はくまなく目を通されている。メディアを通じ、雅子さまのご病気が国民にどう映っているのか、大変お気になさっているのです。譲位が成っても実際には皇后のお立場でご公務はなく、『準公務』という形になるわけですが、陛下は雅子さまにもこれを全うする意識を持ってほしいと考えており、いっそう強く生前退位を望んでおられるのです」(同)

特集「だから摂政もダメ! 公務減もダメだった!陛下の『生前退位』ご真意は『皇太子が……』」より

週刊新潮 2017年3月9日号掲載

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