だから「プレミアムフライデー」はズレている 百田尚樹氏が指摘する「国会議員の世間知らず」

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■本当に金曜日に早退できるの?

プレミアムフライデーは、本当に「月末金曜日」がベストなのか?

 毎月最終金曜日は、早目に仕事を切り上げて、週末を楽しみましょう――政府と経団連が提唱する「プレミアムフライデー」が2月から一部で実施され始めました。官民連携で推進、ということになっていますが、実質的な旗振り役は経産省だと見ていいのでしょう。

 恩恵を受けた労働者にとっては楽しい制度かもしれませんが、一方で、どこかズレているんじゃないの、と感じる方も多いのではないでしょうか。

 そもそも休日前の金曜日は仕事が集中しやすいですし、ましてや月末ともなれば余計にその傾向がある職種も珍しくありません。

 次回は3月31日ですが、年度末のこの日、ほんとうにスムーズに早退できるのかどうかは怪しいものです。

 官僚や政治家がこの手のことで出してくる「アイデア」のなかには、何となく一般庶民には違和感があるものが多いようにも思えます。

 その原因の一つは、政治家に民間で働いた経験がないからなのでは、と指摘するのはベストセラー作家の百田尚樹さん。新刊の『大直言』(青山繁晴さんとの共著)から、「政治家は一度は民間で働け」という「直言」を引用してみましょう。

■民間で働かないとズレてしまう

作家・百田尚樹氏

「議員の人に希望したいのは、民間で一度は働いたうえで政治家になってほしい、ということです。これは制度化が困難なのはわかっているんですが。

税金、仕事、金融の問題等に関して立法するにあたって、民間で働いたことのない人はズレてしまうと思うんです。一般社会のことがわかりませんから。

 その典型が民主党政権のときの公約でした。彼らは随分バカな公約をしましたが、なかでも酷いと思ったのが『高速道路無料化』ですね。そんなことをしたらどうなるか、民間で働いたことのある人ならわかるはずなんです。

 当然、高速を使う車が激増する。渋滞が頻発する。そうなると、日本の物流が一挙に壊滅的なダメージを受けますよ。東京だけで1000万以上、首都圏では3700万もの人がいます。

 食糧ひとつとっても、その人たちが、どれだけの量を消費しているか。その物流が滞るとどうなるか。大変なパニックですよ。そんな想像力すらないのは、民間での経験がない議員が多いことと関係していると思います。

 似たような例がもう一つ、やはり民主党政権時代にありました。『ゴールデンウイークを東京、大阪、地方とバラバラに分散化したらどうか』というアイデアです。これを聞いて、『こいつら、マトモに働いたことないな』と愕然としましたよ。全国規模で展開している企業が、『東京は働いているけど、大阪は休み』なんてことができるわけがない。

 民主党に限らず、政治家の考えることの中には、『こいつら民間で働いたことがないからこんなことが言えるんやな』と感じることが多々あるんです。

 国会議員には最低限の教養と、できれば民間での勤務経験を持ってほしい、というのがわたしの考えです」

 百田さんは、民主党(現・民進党)だけに厳しいわけではありません。同書では自民党に世襲議員が多すぎることにも苦言を呈しています。また、地方議員は無給にすべきだ、という提言もしています。

 ともあれ、民間企業の場合、「これはマズいな」と判断すれば、すぐに方針を転換することは珍しくありません。プレミアムフライデーも、本当に「月末金曜日」がベストなのかどうか、早目に検討しても良いのではないでしょうか。

デイリー新潮編集部

2017年3月7日掲載

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