「許せるポピュリズム」と「許せないポピュリズム」の違いとは? 自民党重鎮の箴言

政治2017年2月28日掲載

お祭りの票集めは是か否か

 イギリスのEU離脱やトランプ政権の誕生によって、以前にも増して用いられるようになった言葉が「ポピュリズム」である。

 その定義は様々あるが、多くの場合は、ネガティブな意味合いを持って使われることが多いようだ。

 この「ポピュリズム」について、「許せるものと許せないものがある」と自説を披露しているのが、高村正彦・自民党副総裁。気鋭の政治学者、三浦瑠麗氏との対論『国家の矛盾』の中で、高村氏は、独自のポピュリズム論を語っている。同書から一部を引用してみよう。

高村 「私はポピュリズムは嫌いなんですが、民主主義の選挙には多かれ少なかれポピュリズムはあるんだろうと思っています。私が考える『許せないポピュリズム』は、選挙に当選するために、あるいは人気を得るために、政策を曲げることです。
 大阪維新の橋下さんが、『お祭りに行って票を集めるなんてポピュリズムだ』と言っていましたが、私はお祭りに行って票を集めるのは許せるんです。それは政治をやるためのコストなんですから。
 でも政策を曲げるポピュリズムはあってはならない」

三浦 「高次元の目標があって、お祭り的なものに代表される人気取りであるとか、ばらまきのような利益調整くらいならいいけれども、そもそもの目標を人気取りの点から設定するのは駄目だろう、と」

高村 「政策をねじ曲げるのは国家国民に害をなしますが、政治家がお祭りに行っても害にはならないですから。ばらまき的なことについては、程度によるでしょう」

三浦 「でも、それは必要な部分ですよね。最近よく思うのですが、全てのものを善悪二元論で判断し、一方を悪と断罪して全て廃するっていうことは、民主主義の国では無理なんです。一方を悪と決めつけるのも難しいし、それが本当に悪かも慎重に考えなければいけないですから、ときに利権というのは一番ましな悪なのかもしれないとさえ思います」

高村 「まあ利権といっても本当に『私腹を肥やしてやれ』なんて考えている人はあまり多くなくて、ほとんどの場合は『その問題にどう向き合うのが正しいのか』をめぐる見解の相違から、対立する相手にはそう見えてしまう、というものが多いんですよ。(略)」

民進党への箴言

三浦 「(略)『人気を得るために政策を変えるのが一番悪いポピュリズムだ』という話を踏まえて、高村さんが野党に対しておっしゃりたいことはありますか?」

高村 「民進党の代表になった蓮舫さんが『批判から提案へ』とおっしゃっているのは、諸手を挙げて賛成したいと思っています。ただ、政権を取る前の民主党も批判だけしていたわけじゃなくて、“提案”もしていたんですよ。しかし、もし提案をするならば、それは実現可能な政策でなければなりません。
 実現不可能なことを提案してもらっても、それは提案に名を借りた批判に過ぎませんから。
 民主党は、『国の無駄を省けば16兆8000億の新たな財源が出る』などと荒唐無稽なことを言って政権を取った。だけど、3年の経過とともに、国民の鉄槌を食らって政権を失うに至るわけですよね。だからその過程をよく糧として、実現可能な望ましい政策を出してもらいたいと思っています。
 実現可能な政策とは、言い方を変えると、それほど国民受けの良くない政策ですよ」

 他国の状況を面白がっているだけではなく、日本人もポピュリズムについて考えるべき時期が来ているのである。

デイリー新潮編集部