人呼んで“森ヨットスクール” 金融庁長官のスパルタ銀行教育

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身内にも厳しい

 森発言に怒りを隠さない頭取がいる一方で、恐れ慄(おのの)くトップも少なくない。第二地銀の会長がこう呟く。

「森長官が指摘するように単独で生き残るのは厳しい。ここ数年、県を超えた地銀や第二地銀の経営統合が相次いでいるが、すべて金融庁主導。今後、他行との“結婚”は避けて通れず、森さんはさながら“押し売り仲人”というわけです」

 数年前、金融業界再編のシミュレーション資料が話題になった。実は、その作成者こそが、検査局長時代の森長官だったのだ。

「森さんは、昨年から“監督庁でなく、育成庁として生まれ変わる”と発言している。金融庁はスパルタ方式で我々を育成して、メガバンクにも負けない収益力をつけさせようと考えている。だが、期待に応えられなければ、金融庁に“淘汰”されてしまうでしょう」(同)

 森長官のスパルタ教育は銀行業界だけに止まらない。金融庁関係者によれば、

「森さんは“金融機関に生まれ変われといっているのだから、我々も変わらなければならない”と口にしています。我々も、“できない、わからないは、聞きたくない”と、厳しい口調で注文を付けられるのは日常茶飯事です」

 金融庁トップの任期は1年だが、過去3年務めた長官も2人いる。2年前に就任した森長官の続投はあるのか。

「森さんは、何か事を急いでいるように見えるかもしれません。実は体調が思わしくなくて、この6月に退任する方向なのです。後任と目される懐刀の遠藤俊英監督局長へスムーズにバトンタッチするため、悪役に徹して“高目のボール”を投げているのではないでしょうか」(同)

 スパルタ校長の“卒業”濃厚で、金融業界もひと安心。だが、7月から遠藤ヨットスクールが開校したりして。

週刊新潮 2017年2月9日号掲載

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