東芝、上場廃止の瀬戸際に 隠蔽していた「データ捏造事件」

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原発へも波及

 東芝社内で“最後の砦”と呼ばれる品質保証部での捏造事件。その衝撃は決して小さくなく、京浜事業所の所長は水力部門の“ストップワークオーダー”を指示したという。東芝本社の管理部門に所属する社員も困惑顔で、

「ストップワークオーダーは、顧客から注文のあった仕事をすべて中止することで、操業停止に等しい大事件。上層部は、この捏造事件の責任を品質保証部の2人に押し付けようとしているのです」

 確かに、データを捏造したのは品質保証部の2人。だが、溶接など他部門の社員も関わっていたことは否めないはずだ。しかも、東芝は捏造事件を闇に葬ろうとしているフシがあり、現在も公表していない。

「データ捏造が発覚した直後、役員が客先へ出向いて平謝りしたそうです。機器を作り直して納入しましたが、それで顧客が納得するはずがない。というのも、その企業は水力発電のみならず、原子力発電事業も手掛けているので、“原発は大丈夫か”となったのです。早ければ今月下旬から、その企業に納入している原発機器のデータ確認作業を実施するように指示されています」(先の技術職社員)

 東芝へ水力発電機器を発注した企業は、“捏造事件”の事実を認めている。では、当事者はどうか。

「データ捏造が発覚したのは昨年11月末頃。公表しなかった理由は、個別のお客様との取引に関する内容だからです」(東芝広報・IR部)

 目下、東芝株は投資家へ取引の注意喚起を促す「特設注意市場銘柄」。その解除を目指して、東芝は“企業統治改善”の確認書を3月15日以降に東証へ提出する見通しだ。しかし、隠蔽はこの通りまだ行われているのだ。

週刊新潮 2017年1月26日号掲載

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