志望動機のウソは見透かされる! 就活生が知っておくべき「キレイゴトぬきの就活論」(1)

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企業は志望動機を知りたいか

 この1月から早くも就活が始まっている。当事者の就活生にとっては、ハードな季節の始まりとはいえ、昨年に引き続き、今年も「売り手市場」と言われているだけに、数年前の「氷河期」の大学生に比べれば恵まれていると言えるだろう。

 就活の厳しさや内容は、時代によって変化し続けている。そもそも、一定以上の年齢の人は「エントリーシート」など書いたことがない。比較的シンプルな履歴書を提出するのが一般的だったからだ。

 両者は似て非なるもので、履歴書しか知らない世代が、現在のエントリーシートを見たら、「こんなに書き込まなくてはいけないのか」と仰天することだろう。

 そのエントリーシートの中身もまた、変化し続けている。一昔前の「就職活動」(就活という略語自体、最近のものだ)における履歴書では、志望動機は必須項目だったが、最近のエントリーシートでは、それをあえて聞かないものも増えているのだ。それどころか、面接でも志望動機を聞かないことが珍しくないという。

 就活状況に詳しい大学ジャーナリストの石渡嶺司氏は、新著『キレイゴトぬきの就活論』で、そのあたりの事情について、こう解説する。

「学生に志望動機を書かせたり、聞いたりしても、大体似たような話になるのです。もちろん学生なりに工夫はするでしょうが、採用担当者からすれば、『またか』という印象になってしまう」

採用担当者は見抜いている

 同書では、「ありがちな志望動機」とそれに対する採用担当者の本音を紹介した箇所がある。かなり辛辣な内容で、就活生は気を悪くするかもしれないが、同書から引用して紹介してみよう。「 」が志望動機、( )が採用担当者の独白、という趣向である。

・「自分自身を成長させたい」  (自分勝手なんだね)

・「貴社製品が好きだったから志望した」  (一生、うちのファン、お客さんのままでいてください=知名度の高い企業の場合)

・「貴社製品が好きだったから志望した」  (それ絶対、ウソだろ、な?=学生に知名度の低い部品メーカー、商社など)

・「街づくりを通して社会貢献をしたい」  (どの会社だって社会貢献しているしさあ)

・「人と人とを結び付ける仕事から人を笑顔にしたい」  (どの会社だって笑顔にするようにしているしさあ)

・「(広報、人事などが)好きな仕事だから」  (違う部署に行けばすぐやめるようなヤツはいらない)

・「社風が好きだから」  (違う部署だと雰囲気も何も違うわけだしさあ)

 石渡さんが補足して解説する。

「意地悪に見えるかもしれませんが、実際に学生の書く志望動機は、ここに挙げた内容だけで9割埋まるといってもいいでしょう。

 学生からすれば、大量に受ける中で、大本命を除いてほとんどの企業に対して特別な志望動機なんかないというのが本音です。あえて言えば、給料が多くてラクなところがいい、というのは本音でしょうが、そんな企業はどこにもありません。

 そして、企業側もそういう本音はよくわかっています。他ならぬ採用担当者が、自身が就活をしていたときに、全く同じ思いを持っていたんですから」

 それでは志望動機に重きを置かなくなった企業は、何を学生に聞いているか。それは学生時代(あるいは高校以前)に何をやったのか、これを就活スラング(俗語)では「学生時代に力を入れたこと」を略して「ガクチカ」という。2010年代に入ってからは、この「ガクチカ」が主流になっている、と石渡さんは分析している。

 もっとも、この「ガクチカ」でも学生側はタテマエやよくできたお話を書いてしまいがちで、それに採用担当者はうんざりしているというのが現状だという。

 では学生はどうすればいいのか。それについては次回にご紹介したい。

デイリー新潮編集部

2017年1月17日掲載

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