天皇退位、大島理森を仕切り役に 官邸の思惑は

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 時に悪代官と言われても、最後は義理人情を忘れない。“握りの大島”の異名を持つコノ人が、20日からの通常国会を前に脚光を浴びている。政治部デスクが言う。

「この国会、最大のテーマは天皇陛下の生前退位問題。そのキーマンが自民党の大島理森(ただもり)衆院議長なんです」

 退位について、16日に衆参正副議長による会談が開かれることが決まった。

「この場で今後の議論の進め方を決めていくことになります。安倍総理は“政争の具にしない”と話しているものの、政府は一代限りの特例法を、民進党は皇室典範改正を主張しています。その野党とのまとめ役を大島さんに担ってもらおうというわけです」(同)

 大島議長は、国対委員長を通算4年も務めた国対畑の人。波風を立たせないためには、打ってつけなのだ。

 自民党関係者は、

「昨年末に民進党から、議長失格だと不信任案を出された時は、“後日、民進党は菓子折りを持って謝罪に来たから、それで終わりだ。国会の主役は野党だからな”と意にも介さなかった。早くも“民進党案は案ではなく一つの考え。話し合える”と秋波を送っています」

 大島議長を矢面に立たせたのは、安倍総理の意向だ。

「菅官房長官が正副議長会談を提案したのです。大島さんが昨年11月、共産党を除く各党の幹部に法案作成の進め方について聴取しましたが、より官邸のグリップを効かせた場を作るという菅さんの意図があった。大島さんとよく電話で話していますよ」(先のデスク)

 こうした官邸主導には、理由がある。

「平成30年とされる退位のためにはこの国会でケリをつける必要がある上、議論が長引けば、総理の解散権を縛ることになります。陛下についての議論を深めている最中に解散はできないので、早めに法を成立させたい。協議が難航すれば、大島さんを盾に政府権限で進めるつもりです」(同)

 政局にしない、と言いつつ、背後にあるのは確かな戦略であった。

週刊新潮 2017年1月19日号掲載

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