小池新党、大勝利なら都政を襲う未曾有の混乱

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 新年の主役が米国のドナルド・トランプ新大統領(70)ならば、昨年下半期のワイドショーのそれは小池百合子都知事(64)だった。豊洲市場に待ったを掛け、五輪施設の見直し検討と、矢継ぎ早に「改革」案をぶちあげ、世の話題を攫(さら)った彼女を待ち受けている今夏の都議選。そこに向け、都民ファーストならぬ小池ファーストの布石が着々と打たれているのだ。

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〈小池知事、都議選に30人超〉

「江戸のエリカ様」はご勘弁

 各紙が自信のネタをぶつける元日の1面トップに、産経新聞はこんな見出しを掲げた。いよいよ「小池新党」が現実味を帯びてきたというわけだが、都政に詳しい政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏が予測するには、

「今の小池さんの勢いを維持すれば、夏の都議選で小池新党は20議席ほど獲るでしょう。今や『小池与党』である公明党と民進党は、それぞれ20議席前後と、10から15議席を獲得。これに小池シンパであるかがやけTokyoや都民ファーストの会を加えると、小池支持派が過半数の64議席を超える可能性は非常に高い」

 石原慎太郎元都知事が言うところの「厚化粧」がボロッと剥がれ落ちそうになるほど、小池氏が顔をクシャクシャにして喜ぶ姿が目に浮かぶわけだが、

「『小池塾(希望の塾)』には、彼女の人気にあやかって議員バッジをつけたい連中がたくさんいます」

 として、政治アナリストの伊藤惇夫氏が危惧する。

「彼らには『これをやりたい』というものがなく、単に『都議になりたい』だけ。維新政治塾から国会議員になった人たちのように、ヘンテコな都議が生まれることが考えられます」

 なお、小池氏は「東京は日本の女性活躍推進のエンジン」と謳(うた)っており、女性候補の多数擁立も検討しているとされる。塾出身の女性議員で思い出すのは……。「上西小百合型都議」の大量生産なんてことになれば、そのために、想定されている都議選の経費約46億円が使われるのが有意義だとはとても言えまい。

■風呂敷を畳めない

 このように懸念される「小池チルドレン」以前に、彼女本人の手腕についても、

「テレビキャスター出身で、プレゼン能力は高い。しかし、政策面では広げた風呂敷をきちんと畳むことができていません。事実、築地市場の豊洲移転問題は結論の先延ばし、五輪施設見直しは結局ほとんど当初案通りと、『結果』を出せていない。そもそも、彼女の国会議員時代の政策的仕事で記憶に残っているのもクールビズくらい。昨年末に新たに小池知事が提案した広尾病院移転計画の白紙化も、しっかりと処理できるか未知数です」(同)

 こうした小池氏の「パフォーマンス」のツケは必ず回ってくるもので、

「早ければ今年の冬にも築地市場の豊洲移転が行われる予定ですが、その際、移転を延ばされた仲卸業者がゴネて、市場の使用料の値下げを要求しかねません。これまでは、都議会自民党が間に入って話をつけていましたが、小池知事に目の敵にされている自民党がその役割を担うわけがない。結果、補助金という名の都民の税金が、無駄に投入されることになる可能性があります」(都政担当記者)

特集「日本が頭を抱える4つの最悪シナリオ2017」より

週刊新潮 2017年1月12日号掲載

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