鳩山邦夫が猛省、草なぎ剛への“最低”発言 エミリー夫人が明かす

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 法務大臣や総務大臣を歴任し、今年6月に十二指腸潰瘍で亡くなった鳩山邦夫氏(享年67)。「友人の友人がアルカイダ」など、数々の舌禍でも知られるが、妻のエミリーさん(61)によると、その度に「そんなつもりはなかった」と反省していたという。特に、SMAPの草なぎ剛を「最低の人間だ」と批判した際には……。

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鳩山邦夫氏

 主人の「友人の友人がアルカイダ」は、外国人記者クラブでの発言ですが、直前まで私もその場にいたのです。別の仕事があってそこを離れ、議員会館に戻ると、主人が何やら落ち込んでいる。「これは何かあったな」と思って声をかけると、「そんなつもりじゃなかったんだが……」と顛末を語り出しました。あちゃーっと思いました。きちんと筋道立てて説明すればよかったのに、簡略化してその部分しか話さないから誤解されてしまうんですよね。

 総務大臣時代の2009年、SMAPの草なぎ剛さんが逮捕されて、主人が「最低の人間だ」と発言した時は大変でした。昼夜問わず、草なぎさんのファンの方から抗議の電話やファクスが届きました。しかし、主人には、本当は草なぎさんを貶(おとし)める意図は全くなく、この時もやはり「そんなつもりはなかった」と言い、草なぎさんを罵倒したように受け取られてしまったことについて猛省していました。後日主人は「酒というものは、飲めば誰だって酔って少しはおかしくなるものなんだ。あれだって仕方ないのにな」と話していました。私は「だったら会見でも、それをそのまま言えばよかったじゃない!」と思いましたが、ぐっとこらえて「私もそう思うわ」とだけ言いました。

 主人は強い人と思われることも多いようですが、私から見れば、繊細で、すごく気配りのある人。骨太な政治家というよりも、優しくて心のきれいな人でした。

 私と主人の出会いは、私が12歳の時。当時の私はモデルや女優のお仕事をしていました。姉が主人の従兄弟と結婚した縁で、何度か家族の集まりで顔を合わせていたのですが、ちゃんと会話をしたのは私が14歳の時です。ちょうど家庭教師の先生が辞めたタイミングだったこともあって、その事情を話すと、「じゃあ僕が勉強をみてあげよう」と言ってくれました。

 家に帰ってから母に、主人が家庭教師をしてくれることになった、と話した時、「私、あの人と結婚すると思う」と言ったというのだから不思議ですよね。恋愛感情なんて全くなかったのに。また、音羽の家に行くと、主人の机の上には別の女性の写真が飾ってありました。でも、ある時から写真が無くなったのです。不思議に思って、主人が席を外した時に引き出しを開けてみたら、ちゃんとしまってありました。主人とその女性の話はしたことがないですが、顔は忘れられません。家庭教師は高校を卒業するまで続き、私はアメリカの大学への進学を考えていました。そんな時、主人から「行かないでほしい」とプロポーズされ、その場でお受けしたのです。

■大学時代の筑前煮

 主人の初当選は28歳の時。自宅に仕事の話を持ち込まない人で、家では料理や野菜作り、蝶の話などをして過ごしていました。

 料理好きになったのは、学生の頃に夜食でインスタントラーメンを作りだしたのがきっかけだったそうです。結婚前、勉強を教わりに音羽の家にお邪魔すると、食事をご馳走になることもありました。するとそこには主人が作った料理も1品ならんでいることが多かった。忘れられないのが、主人が初めて筑前煮を作った日のことです。お母様が「これ、ゴボウの灰汁抜きはしたの?」と聞くと、主人が「そうか。ゴボウは灰汁抜きが必要だったのか」と答えた。大学生の男の子が筑前煮を作っている姿に妙に感心しました。

 料理には自家製の野菜を使うことも多かったです。野菜作りは音羽に住んでいた頃からですが、あれは一郎おじいさまの遺伝なのでしょうね。これまでに作ったことがないのはレンコンくらい。カボチャ、里芋、大根、スイカ……何でも作りました。主人は野菜作りに関する分厚い資料を持っていて、毎年時期が来ると、今年は何を作るか地図を広げて計画していました。

 仕事以外で2人で旅行に出ることはあまりありませんでしたが、主人が蝶を捕るのに付き合って、インドネシアやマレーシアに出かけたことはよく覚えています。私は足手まといになるので絵を描いて待っているのですが、戻ってくると主人は、足なんてヒルに噛まれた痕だらけで、「今日はコブラが横切るのを見た」なんて話すのです。

 私は、生まれ変わってももう一度主人と巡り合って結婚したいと思っています。その時には、「政治家にはならないでね」と言うでしょうね。主人はどんな仕事でも才能を発揮したと思うので、次は家族でもう少しゆっくり過ごせる仕事をして欲しいな、と思います。

特集「デスパレートな妻たち Season5」より

週刊新潮 2016年12月22日号掲載

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