松山英樹、好調を支える「スポンサーのライバル社製」ドライバー

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 10月半ばからの1カ月間で、荒稼ぎした賞金は実に3億3000万円――。世界ランキングは自己最高の6位に浮上し、日本人初のメジャー制覇も秒読みとなった松山英樹(24)。しかし、その好調を支えるのは彼が契約するダンロップではなく、ライバルメーカーのドライバーだった。

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日本人初のメジャー制覇も秒読みとなった松山英樹

 ベテランのスポーツ紙デスクも、「月収3億円超え」の活躍には舌を巻く。

「日本オープンでの勝利を皮切りに、上海で開催された世界選手権シリーズでアジア勢として初の金星を挙げるなど、この1カ月は4戦3勝。優勝を逃したマレーシアのCIMBクラシックでも、単独2位の好成績を残しています」

 目下、向かうところ敵なし状態の松山。だが、そのウラで、ある「異変」が取り沙汰されている。

「松山はダンロップと3年9億円に上る大型契約を結び、同社の“スリクソンZR‐30”というドライバーを愛用していました。ところが、米ツアー初戦となるCIMBクラシックから、キャロウェイ製の“グレート ビッグバーサ”を使い続けているのです」(同)

 アメリカに本社を置くキャロウェイは、石川遼のスポンサーとしても知られる、ダンロップのライバルメーカーである。松山の快進撃を商機に繋げたかったダンロップにすれば、「ため息」どころの話ではあるまい。

「メーカーにとってドライバーは一般ゴルファーの買い替え需要が見込める主力商品です。ブランドイメージにも直結するため、キャロウェイに乗り替えられたのは、かなり“痛い”出来事だと思います」(同)

 ロゴの入ったクラブのソール部分を黒く塗り潰しているのはスポンサーへの最低限の配慮だろう。だが、実戦でライバル社のクラブを使うこと自体、契約違反ではないのか。

■“F1カー”

 その点をダンロップの広報担当者に質すと、

「確かにキャロウェイのドライバーを使っていますが、弊社の担当者も合意の上ですので……」

 前出のスポーツ紙デスクが言葉を継ぐ。

「要は、松山自身が“キャロウェイのドライバーを使いたい”と言い出したということです。ライバル社が勝手に売り込んだのなら問題ですが、自分たちがプロの要望に応えるクラブを作れていない以上、文句は言えません」

 では、松山はなぜここに来てクラブを替えたのか。

「その理由はドライバーのタイプの違いにあります」

 とは、ゴルフクラブアナリストのマーク金井氏。

 松山がこれまで使ってきた「ZR‐30」は、ヘッドの体積が420ccと小さく、ボールを捕えにくいプロ仕様のクラブだった。

 対する「グレート ビッグバーサ」の体積は460ccで素人にも扱いやすい。

「車に喩えると“F1カー”と“ファミリーカー”ほどの差がある。ただ、ドライバーを替えてからも飛距離や、フェアウェイキープ率は変化していません。神経を使わなくても安定したティーショットが打てるドライバーを選んだのは、むしろ彼の真骨頂であるアイアンとパターに集中するためです」(同)

 とはいえ、松山効果は絶大で、グレート ビッグバーサはファンの間で注目の的となっている。だが、

「このクラブはすでに廃番モデル。中古ゴルフ用品店では値段が高騰し、在庫も枯渇していますが、キャロウェイとしては全く旨味がない」(先のデスク)

 ライバル同士のマッチプレーは痛み分けに終わった。

ワイド特集「希望とため息のストライプ」より

週刊新潮 2016年12月1日号掲載

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