“反米親中”フィリピン・ドゥテルテ大統領との付き合い方

国際週刊新潮 2016年11月3日号掲載

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 首の太さか鼻の穴の角度か、小誌(「週刊新潮」)編集長曰く、“フィリピンの大仁田厚”。ドゥテルテ比大統領(71)のレスラー顔負け“マイクパフォーマンス”が止まらない。

「オバマ米大統領に“地獄に行け”と暴言を吐いたかと思えば国連を脱退してもよいと放言。10月下旬の訪中の際には南シナ海の領土問題を棚上げにし、今後は中国と協力してゆくから“アメリカとの訣別を宣言する。これは軍事面も経済面も含む訣別だ”ときっぱり。米側も対応に苦慮していますよ」(国際部記者)

習近平にはにこやか

 ドゥテルテは“麻薬撲滅戦争”を金看板に、麻薬犯罪者は容疑者段階でも殺害を黙認、すでに死亡者は3000人超と言われる。どうやらこの点を批判されると“リングに上がれ”と来るらしい。

 アジア経済研究所の川中豪氏は言う。

「“訣別”という言葉はショッキングでしたが、さほど大きな意味はないはず。彼は治安問題には強くても外交は素人。南シナ海問題を棚上げしたのも、訪中前に国内で“安易な妥協はするな”と釘を刺されたからでしょう。単に中国の歓待の手厚さにサービス精神を発揮してしまったのでは。実際、閣僚らが火消しに奔走、帰国後は自ら〈米国との関係は断てない〉と釈明会見を行っています」

 今回、中国がフィリピンに差し出した経済協力などの“お土産”は総額240億ドル(約2兆5000億円)。叩頭の礼を取りたくもなる。

「ただ、中国が実行するかはわかりませんよ。かつて南シナ海問題を含め、中国とフィリピンの関係が悪化した際、援助を反古にしたことがありますから」(同)

 糠喜びの可能性があっても中国寄り──同志社大学助教の木場紗綾(さや)氏は言う。
「彼は70年代、共産党系の学生団体に所属し、共産党創設者から教えを受けたキャリアの持ち主。反米感情が先に立ってしまうのでしょう。経済面はブレーンに任せているので問題ないようですが、フィリピンでは大統領の権限が非常に強い。なかなか発言まではコントロールできず、知り合いの外務省の官僚たちも頭を抱えていますよ」

 25日に来日したが、腫れ物扱いも致し方ないところ。リング上で「1、2、3、ファイヤー!」と吠えられても敵わないのだから。