慶大集団暴行の捜査開始、加害学生6人が問われる罪は 被害者母は「厳しい処罰を」

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慶応義塾大学の三田キャンパス

〈気品の泉源〉

 慶応義塾大学のHPによれば、創立者の福沢諭吉は修学の目的として、この言葉を挙げていたという。

 すなわち、

〈人格を備えた社会の先導者となることが、義塾における教育の目標の一つ〉

 学問だけではなく、人格も陶冶することによって、卒塾生は社会の先導者たりえる。それを生むことが「塾」の目的だと述べたのである。

 しかし、2年後に創立160年を迎える「私学の雄」が直面した、人格破綻の「テキーラ陵辱」を前にしては、この福沢の言葉がブラックジョークにしか聞こえないのは仕方あるまい。

「先日、葉山署の刑事さんから、“改めて事情を聞かせてくれませんか”と連絡がありまして――」

 と、動き出した捜査について語るのは、被害女子学生・京子さん(19)=仮名=の母である。

「そこで、14日に私1人で警察に出向き、事情を詳しく説明しました。翌15日も呼ばれたので、京子と弁護士さんと一緒にまた伺い、“刑事事件としてお願いします”とお伝えした。そこには葉山署だけでなく県警の刑事さんも加わり、被害届が受理されました。こちらが加害者として挙げたのは6名。その日は、娘も別に事情を聞かれていました。最後に文書に署名をしていたので、調書を取られたのだと思います。警察も本格的に動き出してくれたので捜査の推移を見守るしかありませんが、もちろん加害者には厳しい処罰を望んでいます」

 被害者サイドは、証拠となりうる資料も提出。いよいよ司直の手が6人の慶応大生に伸びるというワケだ。

■事件の経緯

 慶応大が公認サークル「広告学研究会」の解散を命じたのは、10月4日のこと。同会は、女子アナの登竜門として名高い「ミス慶応コンテスト」の主催団体で、告示された処分理由は、「未成年者による飲酒」に関わるものだった。

 しかし、それだけで解散処分は重過ぎると思うのは当然。裏には、別の「事件」が隠されていた。

 本人の証言によれば、8月末、京子さんは、メンバー数人から、研究会が神奈川県葉山町で夏の間に運営している「海の家」の後片付けを手伝うよう、しつこく誘われた。サークル活動にほとんど参加していなかっただけに乗り気でなかったが、仕方なく9月2日、海岸近くの合宿所に出向くと、そこにいたのは男子学生5名、女性は自分1人だけだったという。夜、2階で飲み会が始まる。もう1人男子学生が到着するが、程なく1階で眠り、残った男性は5名。彼らに煽られた京子さんはテキーラをショットグラスで5杯呑まされる。朦朧としながらも、危険を察知して逃げようとしたが、1人に押し倒され、抵抗するも服を脱がされた。その上に裸になった2人が覆いかぶさり、性行為を強行。メンバーの1人にその様子をスマートフォンで動画撮影された。しかも行為の後は、別のメンバーに小便をかけられた――。

 事実なら絶句するしかない蛮行である。翌朝、ようやく合宿所から逃げ出した京子さんは、帰宅途中の駅で動けなくなり、救急車で病院に運ばれて治療を受けることに。やがて駆けつけた母にすべてを打ち明け、大学や警察に相談。ひと月以上経った今、事が明るみに出たのだが、その間、撮られた動画や写真は学生の間で拡散され、京子さんはさらなる苦しみを負ったのだった。

現場となった合宿所は葉山御用邸の目の前

■6人が問われる罪

 この事案について、

「仮に被害者の証言がすべて立証されたとすれば、集団強姦致傷罪の適用が考えられます」

 と述べるのは、元東京高検検事の川口克巳弁護士である。

「被害者は姦淫された上に、翌日、病院で治療を受けざるをえなくなった。これは心身に何らかの傷害を負ったことを意味しますので、強姦だけでなく、致傷罪の可能性が生まれる。対象者は姦淫に及んだ2人はもちろん、他3人も現場にいたワケですから、『共謀共同正犯』の可能性がある。また、階下で寝ていた1名についても他のメンバーが集団強姦する目的であることを知っていれば、同罪になる可能性はあります」

「集団強姦致傷」は最高刑が無期懲役という重罪だ。また、これが成立しなかったとしても、6名が問われうる罪はまだまだある。

「テキーラを呑ませた行為は強要罪が成立する可能性があります。また、スマートフォンの動画を流出させたメンバーは、近年施行されたいわゆる『リベンジポルノ防止法』違反に該当しますし、小便をかけた学生には、暴行罪が成り立ちうる。リベンジポルノを除けば、みな親告罪ではありませんから、被害者の意思とは関係なく立件が可能です」

 いずれにせよ、凶悪犯罪が疑われる事案であることは間違いないということなのだ。

特集「被害女子学生を突き放して保身!福沢諭吉が泣いている『慶応大学』がけしからん!」より

週刊新潮 2016年10月27日号掲載

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