山本地方創生相、証券監視委への圧力は1度ではなかった 代表を務める会社が土地取引で4億円

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 アベノミクスの仕掛け人・山本幸三地方創生相(68)に浮上した、“疑惑の国会質問”――。

 2012年3月5日の衆院予算委員会第一分科会にて、“日興インサイダー事件”を調査中のSESC(証券取引等監視委員会)について、〈こういう調査のやり方しかできない監視委員会というのはある意味で本当に必要なのか〉と糾弾した山本地方創生相。これが自身のビジネスパートナーへの助け船、そして自らが代表を務める会社への利益誘導を図ったのでは、という疑惑である。

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 山本地方創生相がSESCに圧力をかけたのは、この1度ではなかった。もう一つの舞台となったのは、大証ヘラクレスに上場していた「セレブリックス」(東京・新宿区)という会社だった。

 同社関係者が振り返る。

「11年の夏ごろ、SESCは、新興企業の増資を積極的に引き受ける、ある投資家を調べていました。うちも、その投資家に06年に株を持ってもらっていたので、当時の経営情報の開示を求められた。でも、“定例調査ならば、そんな古いものは出せません”と突っぱねたところ、SESCから嫌がらせのように、直近に行った増資や新規事業について、調査報告書を提出するよう指示されたのです」

 そこで、5カ月後に調査報告書を完成させたものの、いざSESCに持って行くと、“担当者不在”などを理由に受け取りを何度も拒否されたという。

「もし、期限までに受け取ってもらえなければ、決算短信が大証に提出できず、株は監理ポストに移されることになる。それを免れるために、うちのコンサルタントがもともと知り合いだった山本先生にお願いし、SESCに電話をかけてもらったのです。山本先生は“受け取れない理由はないだろ”と掛け合ってくれたみたいで、その後は、何ごともなかったかのように、スンナリと調査報告書を受け取った。さすが、政治家は権力を持っていると実感しました」(同)

 しかも、山本地方創生相による“圧力電話”の直後、地方創生相が代表を務める「ブルーエコノミー・ホールディングス」社がセレブリックスの筆頭株主になるのである。

「いわくつきの企業に株を買い占められていたため、コンサルタントが対抗策として筆頭株主になってくれるよう要請したのです。だけど、そこでも問題が発生しました。株取得の当日、『ブルー』社の榊原(康寛オーナー)さんが資金が足りないと言い出し、うちのコンサルタントは、事業譲渡を受けていた『松月堂』という老舗のパン屋から2400万円を短期で貸し付けた。でも、いつまで経っても返済されず、コンサルタントは榊原さんだけでなく、議員会館の山本先生の部屋に取り立てに行くくらい、関係はこじれました」(同)

山本幸三地方創生大臣(自民党HPより)

■松月堂元オーナーが語る

 実を言えば、この2400万円を出した松月堂も、「ブルー」社に食い物にされた企業だった。

 松月堂の元オーナーは憤懣やるかたない様子でこう語る。

「松月堂は創業100年の会社で、私は父の後を継いで、09年に3代目の社長に就きました。でも、それまで医者として働いていたため、経営はまったくの素人。苦労を重ね、ようやく経営が軌道に乗りかけたところで、東日本大震災が起こり、老朽化した工場を立て直す必要に迫られたのです」

 いっそ会社を畳むことも考えたが、顧問弁護士に相談したところ、のちに事業譲渡をするコンサルタントを紹介されたという。

「そのコンサルタントから、榊原さんを共同経営者だと引き合わされました。従業員やその家族を路頭に迷わすわけにはいかないし、1株1円の計50万円で会社を譲渡した。榊原さんは、契約を進めるにあたって、“私には決裁権がないから代表に相談しなければ”と、ことあるごとに山本大臣のことを持ち出していた。その後、『ブルー』社は私の手を離れた松月堂の東京・市谷の工場跡地を転売し、4億円を手にしたと聞きました」(同)

■山本地方創生相の回答

 山本地方創生相は、「ブルー」社の代表就任について、“非常勤、無報酬かつ一時的”と説明したが、果たしてそれは本当なのか。

 結局、松月堂は事業譲渡のわずか2年後、12億円の負債を抱え、倒産している。

 あらためて、山本地方創生相に取材を申し込むと、SESCに“圧力電話”をした事実もなく、松月堂の土地取引は身に覚えがないと書面で回答した。

 とはいえ、額面通りに受け取るわけにはいかない。議員バッジを商売の道具にしているのは、紛れもない事実なのだ。

 安倍内閣の真っ黒大臣は、いつまでその座に居座り続けられるだろうか。

特集「失踪者も判明で安倍内閣の真っ黒大臣『山本幸三』地方創生相がワルい!」より

週刊新潮 2016年10月20日号掲載

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