スマホ使用疑惑の三浦九段、将棋ソフト「技巧」との一致率は93%

社会週刊新潮 2016年10月27日号掲載

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 濡れ衣を着せられたのか、それとも、本当に“禁断のツール”に手を出してしまったのか。

 日本将棋連盟は10月12日、トップ棋士の1人である三浦弘行九段(42)を、年内の公式戦出場停止処分にすると発表した。対局中、スマホで将棋ソフトを不正利用していた疑いがあるからなのは、ご存じの通りだ。

連盟本部が入っている将棋会館

 三浦九段の先輩にあたる、ベテラン棋士が明かす。

「発火点は、7月26日に行われた竜王戦決勝トーナメントの準決勝戦、久保利明九段との対局です。中盤に押され気味だった三浦九段が終盤に形勢逆転し、92手目で接戦を制した。そのとき、久保九段が連盟に対し、“将棋ソフトを使っているのではないか”と訴え出たと聞きました」

 将棋では、タイトル戦ごとに棋士の持ち時間が決められている。例えば、竜王戦の決勝トーナメントの場合、持ち時間は5時間。終盤になると、当然、持ち時間は少なくなり、勝負の行方を決する重要な局面でもあることから、棋士はほとんど休憩を取らなくなる。ところが、三浦九段は終盤でも一手ごとに対局室から出て行ったりしていた。

「しかも、将棋ソフトの不正使用を疑ったのは、久保九段だけではありませんでした。連盟が調査をすると、“控室で寝転がりながらスマホの操作をしているのを目撃した”などと証言する棋士も現れた。なおかつ、7月11日の竜王戦決勝トーナメントの準々決勝戦で三浦九段に敗れた郷田真隆王将、9月19日にNHK杯で対戦した橋本崇載八段なども連盟に三浦九段の処分を求めたのです」(同)

■〈1億%クロ〉

 なかでも、橋本八段はツイッターに〈数週間か1か月ほど前に、奴と対戦した人が不正行為をやられたと憤慨していると聞いた〉〈ファンには酷な知らせと思うが、個人的にも1億%クロだと思っている〉などと書き込んでいる。

 さらに、竜王戦決勝トーナメントを勝ち上がった三浦九段が、七番勝負を挑む相手だった渡辺明竜王も疑いを持っていたという。

「10月3日、渡辺竜王はA級順位戦で、三浦九段と手合せしました。竜王戦七番勝負の前哨戦としても注目される一戦でした。これまでに2人は20戦し、渡辺竜王が14勝で大幅に勝ち越している。でも、このときは、三浦九段がセオリーから外れた“桂馬の単騎攻め”という手で流れをつかみました。どうやら、この一戦が疑いの芽生えるキッカケになったみたいです」(同)

 棋士からの疑惑追及の声は一向に収まらず、遂に日本将棋連盟は10月11日、常務会の場に三浦九段を呼び出し、事情聴取を行うことになった。

■あり得ない確率で一致

 日本将棋連盟の幹部によれば、

「常務会には、15日から始まる竜王戦七番勝負の相手が変わるかもしれないため、渡辺竜王も臨席していました。常務理事らは、三浦九段の棋譜と将棋ソフトの指し手が極めて高い確率で一致するのは不自然だと追及した。話し合いは1時間半にも及びました。三浦九段は、“離席は、控室で身体を休ませていたからだ”と説明し、将棋ソフトの不正使用については頑として認めなかった。ですが、“疑念を持たれたままでは対局できない”と休場の意向を示したのです」

 ところが、三浦九段が期限になっても休場届を提出しなかったため、日本将棋連盟が処分に踏み切ったのである。

「実は、連盟が事情聴取という手段にまで出たのは、三浦九段が使っていたと見られる将棋ソフトを特定することができていたからです。それは、『技巧』という将棋ソフトで、確かめてみると、三浦九段の終盤における棋譜と93%という一致率だった。これは、ほとんどあり得ない確率です」(同)

 三浦九段が否定したため、確証はつかめなかったものの、最初から“真っ黒”という判断に傾いていたのだ。

特集「次の一手をコンピューターに頼った? 『三浦弘行』九段と93%一致した問題ソフト」より