時給4万7000円「石原慎太郎」元都知事のガバナンス

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石原慎太郎元都知事(83)

〈都知事在任中の件に端を発してこのような事態になっていることについては責任を痛感いたしております〉――。盛り土問題で当初は部下に責任をなすりつけていた石原慎太郎元都知事(83)が9月21日、ついに文書で陳謝するはめになった。もっとも在任中から驚愕の“サボり癖”が指摘されていた人物だ。そもそもトップとしてのガバナンスが効いていたとは思えない。

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 年間の登庁日は130日。勤務時間は1日平均4時間9分で、報酬は時給に換算すると4万7000円!

 これは2007年、日本共産党の吉田信夫都議が、都議会で明らかにした、石原氏の勤務実態だ(06年2月~07年1月)。吉田都議は石原氏に具体的なデータを突きつけ、こう追及した。

「多くの青年が時給800円くらいで働いている。(中略)自らと側近は公費で飲み食いや豪華海外出張を行い、改めようとしない知事の姿勢が問われる」

 現在、都議団長を務める吉田都議が往時を振り返る。

「実働時間など、当時の石原知事の勤務実態は、登庁時刻、退庁時刻のデータを綿密に取ることで割り出したものです。石原氏は“登庁していない時も、俺は仕事をしてるんだ”などと居直っていた。しかし私は知事の行動日誌と知事公用車の運行日誌を見比べ、公務の日程がないのに、公用車で外出しているケースも細かく調べていきました。その中で、彼が公用車を使って、練馬区の映画撮影所に、自ら総指揮・脚本を担当した映画の撮影の見学に赴いていたことも判明したのです。こうした“公私混同”や“サボり体質”と今回の豊洲移転騒動は、直結こそしない。しかし、本来の責任に対して全力投球していなかったという点では、これらの問題は同根かもしれません」

 しかし、そんな追及もどこ吹く風。何ら反省のない石原元知事はその後も「週2~3日」登庁を改めることはなかった。

 しかも知事日程表には「庁外」という文字が頻繁に記されていたという。

「これは都の職員たちが知事の動静を把握していない日を指します」

 と声を潜めるのは、都の幹部だ。

「ワンマン体質とはいえ、都庁不在があまりに多いため、職員に対し、充分には睨みをきかせられない。また、自身が関心のある事業には熱心だけど、その他は基本的に現場任せの人です。こうした無責任ぶりが、今日の豊洲の盛り土問題を招いていると言えます」

 石原元知事は、謝罪文書では〈検証には全面的に協力する〉とも記していた。しかし、ここにきて都のヒアリングを拒否との報道が……。ガバナンスに疑問符がつく人物が真相究明に資することはないだろう。

「特集 どんどん湧き出る『アルカリ地下水』と疑問点 イースター島より不思議な豊洲アイランド! バカな話が多すぎる『豊洲のパンドラ』10の疑問」より

週刊新潮 2016年10月6日号掲載

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