千代大海、千代の富士のタニマチ継承は困難か 指導力・人間性に疑問の声

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 角界では、部屋持ちになって初めて一人前の親方と認められる。元横綱・千代の富士が61歳で急逝したことを受けて年寄「九重」を襲名、九重部屋の主となった元大関・千代大海(40)。一人前の親方として円滑に部屋を運営していくにはタニマチの助力が不可欠だが、早くもそこには暗雲が漂っていて……。

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61歳で急逝した元横綱・千代の富士と元大関・千代大海(40)

 東京・墨田区の九重部屋で千代の富士の葬儀が行われたのは8月7日。参列者は約1000人に上ったが、興味深いシーンが目撃されたのは、その後、約100人が浅草ビューホテルに集まって行われた食事会の席だ。この日までにすでに襲名を済ませて「新九重親方」となっていた千代大海と同じテーブルには、亡くなった親方の家族の他に、九重部屋後援会の会長を務めているパチンコ会社「フィールズ」の山本英俊会長の姿もあった。九重部屋後援会の幹部が語る。

「よい機会だと思ったので私はその場で千代大海に対して、山本さんにキチンと挨拶するように忠告した。そうしたら彼は“言えないっスよ”なんて言うんだ。それでも私がしつこく背中を押してやると、しぶしぶという感じで“今後もよろしくお願いします”と山本さんに言っていたよ」

 しかし、千代大海からのその申し出に対して、山本氏は明確に返答しなかったという。

「山本さんのその反応からも分かる通り、今後も我々が千代大海を支援するかどうかは完全な白紙です」

 と、後援会幹部が続ける。

「別に千代大海との仲が悪いとかそういうわけではないのですが、そもそも山本さんや我々はあくまでも千代の富士という横綱に惚れ込んで、個人的な付き合いで応援してきた。皆、千代大海とのつながりは深くないのです」

■指導力と人間性

 では、継続支援の可否はいつ決まるのか。

「10月1日に国技館で行われる千代の富士さんのお別れの会の後になると思います。後援会には、山本さんや何人もの幹部、それに事務局員、地方の後援会長もいる。そういった人々が同意しない限り、今の後援会が千代大海を支援することにはならないでしょう」

 と、先の後援会幹部。一方、ベテラン相撲記者は次のような見立てである。

「千代の富士時代からのタニマチで、千代大海について行く人が多いとは考えにくい。千代大海は千代の富士の娘さんと結婚しているわけでもないので、応援する義理がない」

 それでもタニマチが千代大海を支援するかどうかを判断する際の材料になるのは、彼の指導力や人間性であろう。だが、この点に関しても聞こえてくるのは芳しくない声ばかりで、別の相撲記者が言うには、

「現役時代の千代の富士は自己鍛錬の塊のような力士で、親方になってからもその指導は非常に厳しく、彼が稽古場に入ってくるだけで空気がピーンと張りつめていた。一方の千代大海の現役時代の相撲の取り口は突っ張りしかありませんでしたし、性格もちゃらんぽらん。千代の富士以上の指導力を発揮できるとはとても思えません」

 先のベテラン相撲記者もこう指摘する。

「部屋の力士たちは皆、現役時代に千代大海がどれだけ遊んできたかを間近で見てきた。そんな彼に厳しく言われても“あれだけ遊んでいた人が何を言っているんだか”と真面目に聞いてはもらえないでしょうね」

 そもそも彼は野球賭博問題の際、「賭博はやったことがない」と嘘をつき通して処分を免れた人物。その人間性は、今更タニマチや弟子が見極めるまでもなく分かりきっているのだ。

「ワイド特集 掟破りの掟」より

週刊新潮 2016年8月25日秋風月増大号掲載

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