どういう人がヤクザになるのか(2) 暴力団加入者の特徴

社会2016年7月22日掲載

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■ヤクザ予備軍は学校に行かない?

 ヒトがヤクザになる理由について、前回の記事では家庭の問題を取り上げた。今回は学校が与える影響について見てみよう。犯罪社会学者の廣末登氏の解説によれば、従来、学問的には暴力団加入者の特徴として「学校社会への不適応」という問題が指摘されてきたという。具体的には、

①教育歴が短く、義務教育修了者か高校中退者が多い
②学業成績が不振で、怠学歴が顕著
③学校内に親しい友人が少なく、学校生活への全体的な不適応が認められる

 の3つが特徴とされていた。しかし、①、②はともかく、③については実際の元組員らの話とは合致しないという。

「学校不適応生徒というと、そもそも学校に行かず、家に引きこもって大好きなお菓子を片手にゲーム機をいじっているようなイメージがあります。もし、そうであるとすれば、そうした人たちが青年になって、いきなり非行少年デビューして悪さをしたり、暴力団という社会で“活躍”できるものだろうか」

 このような疑問を廣末氏は研究するうちに抱くようになった。そして、実際に元組員らに聞き取りをしていくと、多くの者が、先生は嫌いだったが、学校は楽しかった、と語ってくれたのである。以下、廣末氏の新著『ヤクザになる理由』から、彼らのコメントを引用してみよう。

■番長経験の功罪

学校が与える影響とは

「ポリ(警察)も先公も関係ないがな。(彼らの言うことが正しいとは)思わんかったと思うで、当時な、全くの無視や無視」

「学校は好きだったよ。でも、先生からしたら来てほしくなかったんじゃない。だってさ、言うこときかない、生意気でしょ」

「(クラスの中での地位は)まあ、高いかな。(クラスの皆からは)女の相談から、喧嘩の相談まで(受けていた)ね」

「クラス全体で、自分が一番や思ってた。先ず喧嘩が強い……と思われてるんや、絶対に泣かんしな。それと少年院帰りやから」

 多くの証言から、廣末氏は、暴力団加入者に共通する特徴として、「教師には疎まれ、負の評価をされている一方で、クラスメイトには一目置かれていて、クラス社会の保護者的な役割、まとめ役といった期待が存在していることが多い」としている。

 従来の研究では、教師側からの視点を重視して、「グレている奴」イコール「学校に不適応な奴」と捉えていた。しかし、廣末氏は、学校には教師が認めるフォーマルな「学校文化」とは別の「生徒文化」があり、そこでの評価基準は前者とはまったく別だと考えるべきだ、と解説をしている。

 これは不良モノの映画や漫画を連想すればわかりやすいだろう。「ビー・バップ・ハイスクール」「ろくでなしBLUES」などの主人公は先生にはニラまれていても、同級生には結構愛されている。それどころか、ある種の「守護神」として機能することすらある。

 もっとも、このような「お山の大将」的な経験が、のちにヤクザになる理由の一つにもつながっている可能性も指摘されている。

 つまり、いくら学生時代に「番長」として君臨できても、普通に卒業、進学、就職すれば、それなりの地位で、コツコツ働くしかない。しかし、カタギとは別の世界に行けば、もっと「上」に行ける、といった思考から、そちらの世界へと道を踏み外す者も多いというのだ。

デイリー新潮編集部