リマスター版「七人の侍」 半年かけて4Kの高画質に

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野上さんの記憶もあざやか

 黒澤明監督の「七人の侍」が公開されたのは1954年のこと。むろん内容は色あせないが、フィルムの劣化が進み、そこで最新のデジタル技術を駆使し4Kの高画質へ修復と相成った。

「大役を担ったのは東宝系の東京現像所。全部で約30万ものコマをデジタルデータに変換、1コマずつ確認しながらキズや汚れを直していく、半年がかりの膨大な作業でした」(映画記者)

 その4Kデジタルリマスター版「七人の侍」は、傑作をそろえた「午前十時の映画祭7」にて、10月8日から全国55劇場で上映される。

 これに先立つ9月13日のマスコミ向け試写会での対談が豪華だ。黒澤監督の助手として活躍した野上照代さん(89)と、昨年文化勲章を受章した名優、仲代達矢さん(83)の組み合わせ。

 以下は野上さんによる対談“予告編”である。

名優、仲代達矢さん(83)

「『七人の侍』では黒澤さんが、墨絵のような色が欲しいと話していました。それにカメラマンの中井(朝一)さんが応えて傑作になったのです。4Kでも濃淡がよく出ています。素晴らしい映像にもまして、音に感動です。せりふが聴きとりにくい所があり、黒澤さんと日本語の字幕がいるかなと冗談を言っていたほどでした。黒澤さんに観せたかった」

 仲代さんは、「用心棒」や「椿三十郎」などに出演、「影武者」と「乱」では主役を務めるなど黒澤作品には大切な存在だ。

「『七人の侍』の時、仲代さんは俳優座の養成所にいました。侍の役でせりふはない。少し歩く間に強さも見せるのです。歩き方にその人の性格が出ます。黒澤さんに歩いてみろと言われて、何度やってもうまくいかず、朝からお昼になり、さらに時間が。仲代さんは恨み節を話すのかな。でも、ちゃんと映っていたのですよ」

 本編をお楽しみに。

週刊新潮 2016年9月15日号掲載

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