稲田防衛相、“靖国”ではなくジブチに飛んだ事情とは

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 防衛大臣の靖国参拝に対する情熱と、尖閣諸島に来る中国公船の数は正比例する。こんな論文が一本書けそうだ。

 防衛省担当記者の話。

「稲田さんが防衛相に就任して以降、尖閣諸島周辺の海域に多くの中国公船が侵入するようになり、その数は日を追うごとに増え続け、8月8日には15隻と過去最多となりました。こうした状況に鑑みて官邸は、終戦記念日に稲田大臣を靖国参拝させないという方針を固めたのです」

靖国に行きたかった……

 言うまでもなく稲田氏は平成17年の初当選以降、毎年終戦記念日に参拝している。今回の決定は、少なからず存在する熱心な後援者からすれば、到底、承服できるものではなかろう。

「そこで官邸が考えたのが、海外出張の案です。終戦記念日当日に公務で日本にいなければ、後援者も納得せざるを得ない。なにより本人が当日、突発的に靖国に向かうリスクを防ぐことにもなります。そこで、13日から16日の日程で、アフリカのジブチで活動する自衛隊部隊の視察に行かせることにしたのです」(同)

 数多(あまた)ある国家の中からジブチが選ばれた理由を、政治アナリストの伊藤惇夫氏が推察する。

「例えば先進主要国への外遊であれば、要人との会見日時の設定等、外務省と連携して準備を進めなければならず、時間がかかります。ですが、ジブチの自衛隊拠点であれば防衛省の管轄ですから、簡単に話が進められる。今回のような急な案件にはもってこいだったのではないでしょうか」

 13日夕刻、成田空港に姿を現した大臣は、キャップを被りサングラスという、閣僚の海外視察とは到底思えぬカジュアルな装い。今後は、防衛大臣の視察回数と自衛隊の士気との関連性について調べる必要がありそうだ。

週刊新潮 2016年8月25日秋風月増大号掲載

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