小池百合子都知事の「標的」になる人物――内田茂、石原伸晃、森喜朗

政治週刊新潮 2016年8月11・18日夏季特大号掲載

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「女性初」を開拓してきた政治家人生である。女性として初めて防衛相となり、自民党総裁選に挑戦、党三役を務め、都知事となった小池百合子女史(64)。分裂選挙の中、300万になんなんとする票を得た女帝は民意という矛を手に、標的を蹴散らす勢いなのだ。

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石原伸晃経済再生担当相と“都議会のドン”こと内田茂都議

 小池都知事誕生を受け、8月4日に都連会長の石原伸晃経済再生担当相、そして“都議会のドン”こと内田茂都議が辞任を発表したが、

「小池さんが都知事になってまずやることは、内田さんへの『宣戦布告』。彼女は公約に、『利権追及チームの新設』を掲げていますが、その標的になるのが内田さんということです」

 とは都連関係者。

「彼自身が監査役を務める電気工事会社が、オリンピック関連事業を受注し、売り上げを伸ばしているのが目下、問題視されている。たとえ内田さんが辞任しても、『院政』を敷くだけ。したがって、その他の癒着関係の有無について調査を進めて行くはずです」

 石原氏に関しては、

「与党推薦候補が都知事選で勝てないのは今回が初めてではありません。それよりも、会長の役職は『1期2年』を2期務めれば交代が定石なのに、彼がすでに11年も居座っているのが問題。今回が良いタイミングだったのではないでしょうか」

 と突き放すのが、別の都連関係者。新都知事と会長とは因縁浅からぬ仲らしく、たとえば、

「09年の都議選で第一党の座を明け渡したときでさえ、石原さんが会長に再任されました。“余人をもって代えがたい”と。小池さんはこれに納得できない面々のひとりで、“執行部は総括すべき。再任反対”と主張しました。最終的に、机をどんどん叩いては怒鳴り合いに発展したんです」(同)

 それから7年の月日を隔てた今回、「増田落選」直後、石原氏は事務所で、

「増田さんが、今でも東京都知事に本当にふさわしい人物であるということを再確認させて頂きました」

 と強弁。遺恨をよほど腹に据えかねたのか、歯ぎしりの音が聞こえてくるようだった。

■森元首相も

五輪組織委員会の会長・森喜朗元首相

 これに続いてターゲットとなるのが、他ならぬ五輪組織委員会の会長・森喜朗元首相である。

「森さんは引退後も、パーティーや献金でカネを集め、いわば権勢を誇っていますからね」(別の都連関係者)

 事実、元首相の政治団体「春風会」の収支報告書を見ると、13年には1億円余、14年にも6000万円強の収入が計上されているのだ。

「森さんは安倍首相の出身派閥『清和会』の元会長でもあるので、業界団体は党のみならず官邸への発言力も期待してカネを出す。逆に森さんはと言うと、集めたカネで清和会の若手・中堅議員のパーティー券を買ったりして、影響力を保持する。森さんは今もなお秘書を複数雇っているし、閉鎖された砂防会館から虎ノ門ヒルズの近くに事務所を移転しています」(同)

 むろんそれは表のカネであり、違法の「い」の字もない。五輪利権の追及とひと口に言っても、大部の書籍のなかに刻まれた落書きを探し出すような困難がつきまとうが、

「いやいや、雪だるま式に予算が膨らんでいった経緯に注目するだけでもインパクトがあります」

 と、政治部デスクが後を受ける。

「招致時には3000億円だった五輪予算が5000億に、そして今では2兆~3兆円にも達すると言われている。なぜそういうことになったのか、小池さんは明らかにしようとするでしょう。役人に資料を出させ、説明をさせ、それを矢継ぎ早に情報公開していく。利権を“発掘”できずとも、都民は一定の評価を下すに違いありません」

■“NOと言える小池都政”

都知事となった小池百合子女史(64)

 そればかりか、組織委に加え政府も、都に対して“陳情”しなければならない案件がある。

「具体的には、施設整備費の追加負担について。本来、仮設のものは組織委が、閉会後も使用される恒久的な施設は都が負担することになっている。でも、仮設にかかる費用が招致の際には723億円だったのが、3000億円規模にのぼっていて、組織委だけでは賄えなくなった。それで今年3月末から森さんと遠藤さん(利明担当相)、そして舛添さんとで負担割合の話し合いをしてきました」(同)

 この会談に新都知事が参加することになるわけだが、さる都庁幹部に聞くと、

「舛添さんは森さんの意向を踏まえ、予算をひねり出そうと我々に指示していましたね。自民党を除名された自分をもり立ててくれているという意識があり、無下に出来なかった。そこへ行くと、オリンピック予算の透明化を訴える小池さんが、森さんの要望にそう簡単に応じるとは思えません」

 あたかも、“NOと言える小池都政”が睨みを利かす恰好である。

 永田町関係者のひとりはこう語る。

「そもそも、森さんは同じ派閥にいた小池を好ましいと思っていません。小泉政権下の03年9月、彼女が環境相に就任したとき、派閥の会合で、“あなたには(入閣待機組の)先輩を思いやる心がないのか。スタンドプレーするなら出て行ってほしい”となじっていたんです」

「特集 女帝誕生! 『小池百合子』都知事が蹴散らす標的1番から5番まで」より