90歳エリザベス女王も――諸外国の退位事情とは〈生前退位の大疑問〉

社会週刊新潮 2016年7月28日号掲載

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90歳「エリザベス女王」もいる諸外国の退位事情?

 海外では、国王や女王が生前退位するのはそれほど珍しいことではない。例えば2013年7月には、ベルギーのアルベール2世前国王(82)が高齢と健康上の理由で退位し、長男のフィリップ皇太子(56)に王位を譲った。スペインでは14年6月、王室を巡る不祥事が相次ぐ中、フアン・カルロス1世前国王(78)が退位し、長男のフェリペ6世(48)が王位についている。オランダのベアトリックス前女王(78)も13年4月に高齢などを理由に退位、長男のウィレム・アレキサンダー皇太子(49)が王位を継承した。

「オランダでは、女王が3代続きました。ベアトリックスの母のユリアナも、祖母のウィルヘルミナも存命中に退位しています」(皇室ジャーナリストの渡辺みどり氏)

 御年90のエリザベス女王が君臨するイギリスでも生前退位は可能。しかし、

「イギリス国民の多くは生前退位を想定していません」(在英ジャーナリストの小林恭子(ぎんこ)氏)

 なぜか。それは、生前退位が可能になった背景に、ある“事件”の存在があるからなのだという。

 エリザベス女王の伯父、エドワード8世が王位を継承したのは1936年1月。が、彼はほどなくしてアメリカ人の人妻、ウォリス・シンプソンと不倫関係となり、最終的には彼女と結婚する道を選ぼうとする。

「世に言う“王冠を捨てた恋”です。彼は時の首相にウォリスと別れるか退位するかと迫られ、それでも彼女と別れなかった。で、彼を退位させるために“退位宣言法”が成立したのです。そういう経緯でできた法律なので、よほどのことがない限り再び適用されることはないと思います」

 と、小林氏は語る。

「女王は退位してチャールズ皇太子に王位を譲るべし、という声もなくはない。しかしそのチャールズ皇太子はダイアナ元皇太子妃を差し置いてバツイチのカミラ夫人と不倫の末に再婚しており、国内には、カミラにクイーンの称号を与えたくないという声も根強い」

 国ごとに、それぞれ悩ましい事情はあるのだ。

「特集 『天皇陛下』生前退位に12の大疑問」より