バレエ講師の指を切断した41歳無職男、刑務所覚悟の犯行

社会週刊新潮 2016年7月21日参院選増大号掲載

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 チューリップの蕾から生まれた小さな女の子が、介抱したツバメの背に乗って花の国を訪れる――。アンデルセンの童話「親指姫」といえば、バレエの演目としても有名である。それを知ってか知らでか、41歳の無職男が犯行の終幕にとった行動は、奇しくも、美人講師の“親指”を切り落とすことだった。

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被害者は彼を担当していた女性講師だった(※イメージ)

〈男性未経験者が通えます!〉〈生徒と密なスタジオ!〉

 HPに躍るそんな宣伝文句に橋本浩明が惹かれたのは間違いない。

 今月6日の午前8時過ぎ、彼は通いなれたバレエ教室「バレゾナンス東京」の渋谷スタジオを訪れている。社会部記者によれば、

「橋本は、レッスンの準備のため1人でスタジオにいた24歳の女性講師に“なんで俺が怒っているか分かるか!”と詰め寄りました。そして、彼女の髪の毛を掴んで床に引き倒すと、首を絞めて失神させた」

 被害者は彼を担当していた女性講師だった。

「その後、持参したボストンバッグから金づちと、“タガネ”と呼ばれる大型のノミを取り出し、彼女の右手の親指を付け根から断ち切ったのです」(同)

 橋本は自ら110番通報し、傷害の現行犯で逮捕される。動機については、

「一昨年11月にこの教室に入会した橋本は、昨夏にトラブルを起こしていました。“発表会に向けた補講の日程を教えられなかった”ことに怒り、ロッカーを叩きながら被害者の女性講師に抗議したという。その結果、退会を求められたことを恨みに感じていたと供述しています」(同)

■マンションも解約

事件のあった教室

 国際弁護士の局部を狙った司法浪人のチン切り男を思い起こさせる犯行だが、レッスンに出られなかったことが動機とは少々、首を傾げざるを得ない。

 だが、この男のシャバにサヨナラを告げる覚悟だけは本物だった。

「橋本が現場から逃げず、すぐに通報したため、被害者の指は手術で接合できた。彼のバッグには着替えや本が詰め込まれ、“刑務所に入っても構わないと思っていた”と話している」(同)

 彼は事件を起こす以前から身辺整理も進めていた。今年2月には勤め先のマッサージ店を退職。さらに、川崎市内にあるメゾネットタイプの自宅マンションを管理する不動産業者は、

「6月22日に退去したんですが、契約書に則って1カ月前には申し出の電話がありました。これは想像ですが、私どもに迷惑をかけないよう事前に引き払ったんじゃないかな、と」

 近隣住民も“強面だけど、菓子折りを持って引っ越しの挨拶に来た、いまどき律儀な人”と評する。そんな彼が人知れず励んでいたのがバレエの練習だった。

「毎週のように教室に通うだけでなく、自宅には練習に使う手すりや、ポーズを確認するための姿見も置かれていた」(先の記者) 

 年甲斐もなくバレエに打ち込んだことが凶行の引き金となったのか。

 しかし、別のバレエ教室の関係者はこう断じる。

「逆恨みで女性講師を切りつけたとなると、犯人に下心があった可能性は否定できません。バレエの指導は肌が密着することも多いですし、レオタード姿の女性を見たいという不純な動機で入会する男性もいる。事件のあった教室は、HPに講師の顔写真も掲載していましたからね……」

 無論、“親指切り男”の行く先は花の国ではなく、塀の中である。

「ワイド特集 真夏の夜の夢」より