「支持政党なし」、間違って投票した有権者が減る 敗因は知名度?

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「支持政党なし」のポスター

「支持政党なし」は日本の有権者のメインストリームである。事実、NHKが先月行った世論調査でも「支持なし」は36・7%で、自民党支持者の38・1%に迫る勢いだった。「支持なし」とは、むろん「支持政党なし」の略だが、略称も含めてまったく同じ語が参院選を攪乱した結果は……。

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 なにしろ「生活の党と山本太郎となかまたち」なんて党名がまかり通るご時世である。今さらどんな党名も驚くに当たらないが、「支持政党なし」がそのまま党名になり、その略称に「支持なし」が認められるに至っては、驚く前に心配するムキが現れた。

「この“政党”は一昨年の総選挙で、比例代表北海道ブロックに候補者を2人立て、10万を超える票を獲得しました。得票率は4・19%で、仮に参院選の比例区でも同じ得票率だった場合、2議席ほど獲得してしまう計算になります」(全国紙の政治部記者)

 言うまでもなく、それが政党名とは知らず、支持しているわけではないのに勘違いして投票してしまう有権者が現れることを、懸念しているのである。

 だが、一昨年は無名だったこの“政党”も、今回は東京選挙区の候補者掲示板に〈支持政党なし〉と書かれたポスターが4枚並んで貼られるなどし、それなりの存在感を示した結果、

「政党としての認知度がずいぶん上がりました」(同)

 であれば、得票率も上がるのが常識だが、やはり非常識な政党名には常識が通じないようで、

「間違って投票する有権者が減ったようです」(同)

 結果、得票数は64万7071票で、得票率は1・16%。一概に比べられないが、一昨年はダブルスコアで上回った社民党の半分も、票を獲得できなかったのだ。

「うちは参院選には向いていないと思いました」

 とは、佐野秀光代表(45)の敗戦の弁だが、はてさて、どういう意味か。

「衆院選の比例では投票ブースに政党名しか書いていませんでしたが、参院選の比例区では政党名の横に候補者名も書いてあるので」

 候補者名が書かれていると、「支持なし」が政党名だと“バレて”しまう、とわかっていらっしゃる――。

「いや、まだ“支持政党なし”という政党名がしっかり理解されていなかったのが敗因だと思います」

 おっしゃることが矛盾している。矛盾の極みは、

「自分も投票に行って、政党名の隣に候補者名が書かれているのを見て、間違えて投票した人は皆無だと思いました」

 との見解。有権者の間違いを誘発できなかったのが敗因だと言わんばかりなのだ。次の国政選挙にも挑戦するそうだが、もはや“知名度”が邪魔になる?

「総力ワイド特集 景気悪化中なのに改憲勢力2/3! 国民が忘れられない『民主党政権』のトラウマ! 参院選 我ら凡俗の審判」より

週刊新潮 2016年7月21日参院選増大号掲載

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