自民党には得? アベノミクス失速を英政府に責任転嫁 英国EU離脱20の疑問(19)

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安倍首相

「安倍首相は、イギリスのEU離脱をまったく予想していませんでした」

 とは、官邸関係者である。

「官邸に“離脱はない”と情報を上げていたのは外務省。首相は油断して投票当日は東北遊説に回り、菅官房長官も北海道、岸田外務大臣は沖縄にいた。結果を受けて首相は慌てて東京に戻り、関係閣僚会議を開きましたが、官房長官も外務大臣も間に合わないというバタバタぶりでした」

 経済危機の可能性に備えていなかったという点で、参院選前に首相は“失態”を演じたと言えるのである。

 ところが、

「今回の対応は、選挙にはほとんど影響ないと思いますよ」

 と言うのは、全国紙の政治部デスク。

「マズイ対応だったのは間違いないですが、当のイギリスはじめ、世界のほとんどが残留と踏んでいたためにミスは目立っていませんし、何より官邸は、『円高と株安』を逆手に取ろうとしています」

 例えば、菅官房長官は6月25日の講演で“増税先送りは正しかった”と発言。「偶然」を「必然」に仕立てて見せた。また、

「アベノミクス失速の責任を失政ではなく、イギリス政府に転嫁するという“論理”を手に入れたのです」(同)

 一方の岡田民進党代表は、

「従来のアベノミクス批判を繰り返すだけ。経済危機に対する有効な対案を示せていません」(政治評論家の浅川博忠氏)

 せっかくの“敵失”も利用できない民進党。これでは参院選「苦戦」の流れが変わらないのも当たり前なのである。

「特集 ヘイトと衆愚が理性にまさった? 地球的大混乱で誰が笑うか? まさかの英国『EU離脱』20の疑問」より

週刊新潮 2016年7月7日号掲載

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