鳩山邦夫の遺産は170億円以上 後継は「次男の可能性が高い」

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鳩山邦夫氏

 唐突にもたらされた訃報だった。6月21日、67歳で逝去した衆院議員の鳩山邦夫氏。名門の出ながらそれを鼻にかけず、多くの人に慕われた彼は、どのような姿を周囲に見せていたのか。また、170億円以上と目される遺産の内訳、後継者選びの行方は――。

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 邦夫氏が東京・文京区の「音羽御殿」に生まれたのは1948年。曾祖父は元衆院議長の和夫氏、祖父は元首相の一郎氏、父は元外相の威一郎氏という政界きっての名門の出だが、彼の元秘書が言うには、

「私が見る限り、邦夫さんは鳩山家という超エスタブリッシュメントに生まれたことを逆にコンプレックスに感じていたと思う。あの人は本当に気取らない人で、スーツだって安物だったし、穴の空いた靴下を穿いていたこともあった。それが全て演出ではないと思うけれど、庶民的に、庶民的に振る舞おうと意識していたのは間違いない」

 東大を卒業した後、田中角栄の秘書を経て衆院選挙で初当選を果たしたのは76年。その後、1度落選を経験するも、91年に宮澤喜一内閣で文部大臣(当時)に就任するまでは、まずは順風満帆な政治家人生といってよかろう。その頃、邦夫氏の秘書を務めていた白石英行・文京区議会議長は、

「代議士はとにかくパワフルだった。朝からかつ丼とかステーキを食べて、夜は時間が空くと選挙区内の飲み屋をハシゴ。それから自宅に帰って自分や秘書たちの分の食事を作り、それを皆で食べてようやく1日が終わるのです」

 同じく邦夫氏の元秘書で、現在は民進党代議士の牧義夫氏もこう言う。

「朝から天ぷらを揚げていることもありました。鳩山事務所に入ると皆10キロくらい太ってしまうので、他の事務所からは“鳩山部屋”などと呼ばれていた」

■離党、復党を繰り返し

 93年に自民党を離党。兄の由紀夫氏と共に旧民主党を結党したのはその3年後である。元秘書の馬渡龍治氏によると、

「お二人が兄弟新党を結党する背景には、母親の安子さんの思いがあった。しかし旧民主党を作って合流した後も二人の関係はギクシャクしたままで、しばらく私が両者の間のメッセンジャーを務めなければならなかったほどです」

 元民主党代議士で政治評論家の木下厚氏が言う。

「その後は都知事選に落選して自民党に復党するものの再離党し、さらにまた復党するという政治人生を歩みました。政治家としての資質には恵まれていましたが、功を焦り、却って逆に逆にと行ってしまったような印象を持ちます」

■日本トップレベルの蝶の研究

 そんな邦夫氏が政治に対するのと同等かそれ以上の情熱を傾けたのが蝶の研究であった。蝶の採集や標本作製に熱中するようになったのは子どもの頃だというが、それを研究の域にまで高めようと決心したのは79年、彼が31歳の時で、著書『チョウを飼う日々』には次のようなエピソードがある。選挙に落選して茫然自失の態で庭の真ん中に立ち尽くしていると、

〈都区内では大珍品のアカタテハがやってきて、しかも二回もオレの回りをぐるっと回って消えた。そうだ、あれは神がオレにチョウを徹底的にやれといって遣(つか)わせた使者に違いない。これから当分ヒマが続く。オレはやるぞ、こうなったらトコトン、チョウをやりつくすぞ……〉

 邦夫氏の蝶の研究をサポートするため93年から5年間、彼の秘書として働き、現在は東京大学総合研究博物館で助教を務めている矢後勝也氏は、

「私が秘書になった時、鳩山代議士はすでに蝶の研究者として有名で、飼育に関しては日本のトップレベルに達していました」

 として、こう語る。

「蝶の研究者としての人生も送ってみたかった、と話していた代議士が特に愛したのはオオウラギンヒョウモン、オオルリシジミなどの絶滅危惧種。今では代議士の技術が生かされ、日本各地で蝶の保全が行われています。葬儀の際、棺の中にはオオウラギンヒョウモンとオオルリシジミ、それからヒサマツミドリシジミの標本が入れられました」

 邦夫氏が死して遺した蝶に関する貴重な研究成果とコレクション。無論、それとは別に巨額の遺産もある。

■170億円以上の遺産

 昨年3月に提出された衆院議員の資産等報告書によると、東京・本駒込にある約560坪の広大な土地の他、長野県の軽井沢や埼玉県、選挙地盤の福岡県にも土地を所有している。定期預金が2億4700万円、国債証券及び金銭信託が18億8752万円。所有株券は、ブリヂストンが389万株、マツダが30万株、東芝が86万4000株などとなっている。

「本駒込の土地だけで20億円以上の価値がある。また、ブリヂストン株は現在の株価で計算して、約123億円。さらにその他諸々を合計すると、遺産の額は最低でも170億円という巨額になります」(金融業界関係者)

 邦夫氏と妻のエミリーさんの間には、2男1女がいる。今後、それぞれが巨額の遺産を相続することになるわけだが、

「通常なら、相続税を支払うために遺産の一部を処分したりして資金を捻出しなければならないところですが、あの家は特別。相続税の支払いに困るようなことはないでしょう」

 とは、鳩山家の関係者。

鳩山太郎氏

「それよりはむしろ、後継者選びのほうで紆余曲折があるかもしれません。長男の太郎氏は元都議会議員。次男の二郎氏は邦夫氏の秘書を経て、現在は福岡県大川市の市長を務めている。すでに2人とも政治との関わりを持っており、普通に考えればどちらが後継者になってもおかしくない」

 しかしこの点、邦夫氏の元秘書(前出)によれば、

「邦夫さんの後継は次男の二郎さんになる可能性が高いと思います。そもそも、太郎さんは1度は都議になったものの、再選はかなわず、参院選でも落選している。一方の二郎さんは秘書として代議士と一緒に福岡の地元で汗を流し、大川市長になった。2人の現在の立場を比べれば、どちらが後継者に相応しいかは一目瞭然です」

 政治家一家の4代目として、起伏に富んだ67年の人生を送った邦夫氏。彼の死去にともなう福岡6区補選は10月23日投開票で行われる予定である。

「特集 『鳩山邦夫』の棺を蓋いて『死因と遺産と後継者』」より

週刊新潮 2016年7月7日号掲載

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