イチロー批判のピート・ローズが口にしていた「日本でプレーしたい」

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 負け惜しみ、減らず口、悪あがきに屁理屈。全てを兼備した男が吼えている。先ごろマーリンズのイチローが日米通算4257安打を達成、ピート・ローズの持つメジャー記録を30年ぶりに“更新”した。これに「元打撃王」が抗っているのだが、彼はかつて“らしくないセリフ”を口にしていた。

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“イチロー特需”のローズ

 イチローが記録を更新したのは日本時間の16日。これに先立ちローズは、現地メディアに対し、

〈日本では私を安打クイーン(2番手の意)にしようとしている〉〈次は(イチローの)高校時代の記録まで足そうというのか〉

 などと言いたい放題。記録達成後もあらためて、

〈(日米の)野球のレベルが違うのは明白。それなら私のマイナー時代の数字も加えてほしい〉

 と、収まらなかった。

「ローズは60年、地元のシンシナティ・レッズに入団。全力でのプレーは『チャーリー・ハッスル』の異名をとりました。78年にはフィリーズに移籍し、2年後のワールドシリーズ制覇に貢献。84年には移籍先のエクスポズで、史上2人目の通算4000本安打を達成しました」(運動部デスク)

 そして85年、

「古巣のレッズに選手兼監督として舞い戻り、ついに4192安打を達成。『球聖』タイ・カッブの記録を塗り替えたのです」(同)

 が、89年8月、野球賭博への関与が浮上。本人は否定したものの永久追放処分に。昨年は地元でオールスター戦のセレモニーへ参加が認められたが、新たに現役時代の賭博も発覚し、年末にはMLBがローズからの処分解除要請を却下している。

 在米ジャーナリストの話。

「ローズは、数字については認めない一方、選手としてのイチローは高く評価してきました。5年前には日本のスポーツ紙に『休まず試合に出続ける選手が私を追い越せる。それはイチローかジーターだと思う』と語り、13年8月にイチローが日米通算4000本安打を放った時にも、日本の新聞に『異国で1年目から結果を出したことは本当に素晴らしい』と称えていた。さらに現地メディアにも『野球殿堂の投票権を持っていたらイチローに入れる』とまで言っていたのです」

 さらに81年には、日本の雑誌のインタビューでこんな言葉を残していた。

〈ぼくだって日本で野球がしてみたいんだ。二年間は日本でやりたいな。(中略)日本のファンのために、なんとか実現してみたい〉(「Number」81年4月20日号)

〈近いうちに決断しなければいけないと思っている。俺は日本が好きだし、日本でプレイすることに魅力を感じてもいる。問題は、俺にタイ・カッブの安打記録を破るチャンスがあるかどうかってことなんだ。(中略)それをあきらめてしまえば、日本でプレイすることになると思う〉(「週刊プレイボーイ」81年10月13日号)

■バットも日本製

 もっとも、大リーグ評論家の福島良一氏によれば、

「当時はリップサービスが多い人でした。85年に記録を塗り替えた時のバットはミズノ製。その時は『よいチームやプレーヤー、そしてよい用品とともにプレーできたから』と、日本製バットのおかげだと言わんばかりの談話を残しています」

 在米スポーツライターの丹羽政善氏も、

「野球賭博については、04年に出した自叙伝で初めて認めました。近年は自宅のあるラスベガスでサイン会を開き、年間100万ドル稼いでいます。まず会場で99ドルのボールを購入するとサインを貰え、さらに199ドル払うと、好きなメッセージを書いて貰える。私も先日、会場でローズと話しましたが、相変わらず『俺のマイナー時代の記録も』と繰り返しながら、イチローの話にうんざりしている様子はない。再び自分にスポットライトが当たり、あわよくば球界にカムバック、と目論んでいるのでしょう」

 総じて“セールストーク”というわけだ。

「ワイド特集 一難去ってまた一難」より

週刊新潮 2016年6月30日号掲載

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