プリンスの遺産10億ドルに群がる700人…「自分も親戚では」「自分は息子だ」

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 ホイットニー・ヒューストンが22億円ならデビッド・ボウイは120億円、マイケル・ジャクソンは1450億円――1993年に没した田中角栄元首相の相続税対象額が197億円と聞いたときもそうだったが、有名人の遺産も巨額すぎると「ふーん」としか思えぬ。

プリンス

 それでもあのプリンスである。マイケルと並び称された巨星の突然すぎる死に際し、当初報じられた遺産額は3億ドル(約330億円)。

「マイケルの4分の1以下? と思いましたよ。連日テレビ・ラジオから曲が流れ、哀悼は途切れず、全米チャートの1位と2位を死去後に独占するなど桁外れの存在感を見せつけた鬼才でしたから。ただ、死去から1カ月経った今では、遺産額は10億ドル(約1100億円)にのぼるのではと報じられています」(在米記者)

 追悼記事「プリンスがすべてだった」の筆者で映画・音楽ジャーナリストの宇野維正氏は言う。

「プリンスは楽曲をリリースするのに非常に神経を配ったアーティスト。ペイズリーパークの自宅スタジオにある地下金庫には、未発表のままの曲が何千と眠っていると言われています」

 この膨大な曲の権利が遺産額を押し上げたというわけだ。おかげで、「自分も親戚ではないか」と名乗り出る者が引きも切らない。

「ミネソタ州では故人に子供がない場合、血縁のある兄弟姉妹が平等に遺産を分けます。このため、死後1週間で血縁関係を調査する会社におよそ700人もの人々から問い合わせが殺到したのです」(前出記者)

 その後も6人の兄弟姉妹以外から血縁を主張し法定相続人に名乗りを上げる者あり、獄中から〈自分はプリンスの息子だ〉と訴える者あり。もしも彼が息子だと認められれば、遺産は息子の総取りになるのだが、状況は混迷を極めている。

「問題はプリンスが遺書を書かなかったこと。1981年に亡くなったボブ・マーリーも巨額の遺産がありましたが、遺書がなかったために相続で揉め、35年経った今も遺産問題が続いています」(同)

 泉下のプリンスにしてみれば、地下に封じた自身の曲とともに、静かに眠るのが最大の望みかもしれない。

週刊新潮 2016年6月2日号掲載

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