真のワル企業は名前が出ない「パナマ文書」

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 パナマ文書の全容が公開され、日本の場合は企業約20社、個人約230人の存在が明らかになった。庶民は“巨悪”の実態が白日の下に晒されることを期待しているが、そんな思いは叶いそうにもないという。

 パナマ文書に掲載された企業の幹部がこう憤る。

「新聞やテレビなどは、うちを“脱税企業”かのように報じていい迷惑。中世の“魔女狩り”のようで、風評被害で訴えたいくらいです。タックスヘイブンに営業拠点を開いたり、投資する前には必ず税務当局や弁護士にお伺いを立てて、“問題なし”とのお墨付きを得ているのですから」

 タックスヘイブンで活動する企業の大半は有価証券報告書のみならず、ホームページにもその“事実”を掲載している。では、課税逃れをしている日本企業は1社も存在しないというのか。

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「タックスヘイブンを悪用して、節税という名の“脱税”を行っている日本企業も少なからずあります」

 こう囁くのは、メガバンクでの勤務経験があり、“節税対策”に詳しいコンサルタントだ。

「日本の税務当局も、パナマ文書には相当関心を寄せています。ですが、文書に掲載されている20万超の会社の中から、日本企業が脱税目的で設立した“ダミー会社”を見つけ出して、摘発する可能性は極めて低いでしょう」

 それは、こんな理由があるからだという。

「例えば、スターバックス英国法人は“タックスヘイブン”に設立した子会社との取り引きで損を出したことにして赤字に転落し、英国で法人税を納めていなかった。日本の税務当局も大企業は監視できても、すべての企業に目を光らせることは無理でしょう」(同)

 真のワル企業ほどよく眠る?

週刊新潮 2016年5月26日号掲載

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