熊本地震は南海トラフ巨大地震の前兆 専門家が指摘

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 今回の「活断層型地震」には、95年の阪神大震災や04年の新潟中越地震が含まれる。一方、5年前の東日本大震災をはじめ、地表を覆う厚さ数十キロ以上のプレート(岩盤)のひずみが引き起こすのが「海溝型地震」。ここで目下、最も懸念されているのが「南海トラフ巨大地震」である。

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日本の主要な活断層

 日本列島では、4つのプレートがぶつかり合っている。それぞれ「ユーラシア」「北米」「太平洋」「フィリピン海」で、フィリピン海プレートと陸側のユーラシア・プレートとの境界に沿う窪地が「南海トラフ」である。東海から紀伊半島、四国の沖合に広がる全長およそ700キロの溝は、過去に幾度も大地震の引き金となってきた。

 一般的に海溝型は活断層型に比べて規模が大きくなるといい、次の巨大地震は、

〈今後30年以内に70%の確率で発生する〉

 と予測されているのだ。

 東大地震研究所の佐竹健治教授が言う。

「基本的には海溝のプレート同士、つまり海側が陸側を押し込むことでひずみが溜まり、それを解放しようとして地震が発生します。この時、プレートだけでなくトラフ自体も南から北側に強い力で押されるため、内陸部で活断層型の地震が起きやすくなるのです」

 あくまで南海トラフが“主役”だと言い、京都大学防災研究所付属地震予知研究センターの西村卓也准教授も、

「今回の地震が南海トラフ巨大地震を誘発する可能性は極めて低いでしょう」

 としながら、以下のように指摘するのだ。

「ただし、逆のことは言えます。現在西日本では、南海トラフに向けてどんどんひずみが溜まってきています。これまでの南海トラフ地震を見ると、発生の30年くらい前から内陸で地震活動が活発化することが知られている。つまり今回は“次の地震に向けて準備しています”という環境下で起きたものであり、数年から10年の間にさまざまな地震が発生し、その後、巨大地震が起こるというシナリオは十分に現実的です」

 具体的には、

「これから中国・四国地方をはじめ、三重県の伊賀上野地方などで、将来の巨大地震に向けて地震が頻発すると予測されます。それはすなわち、南海トラフが引き起こすものだというわけです」(佐竹教授)

 大地の発するシグナルは、すべて繋がっているというのだ。

「ワイド特集 『熊本地震』瓦礫に咲く花」より

週刊新潮 2016年4月28日号掲載

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