パリピは何を考えているか ロングインタビューを敢行! その②[パリピ編]

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 現在の流行の発火点となっている「パリピ」こと「パーティーピープル」。前回はその中でも最初のきっかけを作る存在であるフィクサーの声をご紹介した。

 今回は「パリピ」と「サーピー」の中間くらいに位置する女性、Hさんのインタビューをご紹介しよう。「サーピー」とはイベント系サークルに所属する学生のことで、パリピが目をつけたものを広めるのには不可欠な存在である。

 T大学3年生のHさんは、「ナイトプール、エレクトリックラン、カラーラン、リムジン女子会など、流行りのイベントは早くからほとんど網羅」しているという。彼女は普段、どのような暮らしをして、何を考えているのか。以下、『パリピ経済』(原田曜平・著)に収録されている彼女のインタビューの一部を引用してみよう。

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■人の顔を見るのが好きなんです

原田 自分のどんなところがパーティーピープルだと思いますか?

Hさん パーティーが好きっていうか、私、人の顔を見るのがすごく好きなんですよ。街でも、道行くこの人が今どういうことを考えているんだろうって想像するのが、本当に楽しいんです。だから、バイトも人がたくさん集まって盛り上がる場所でばかりやってました。ビアガーデンとか、オクトーバーフェストとか、球場の売り子とか。

原田 さすが。パリピに人気の三大バイト、ビアガーデンとオクトーバーフェストと野球場の売り子を全部やっていますね(笑)。パリピの皆さんは大変社交的で人の集まる場が大好きですよね。

Hさん だから、とりあえず人がいて楽しいと思ったところには、だいたいどこへでも行きますね。ナイトプールもエレクトリックランもリムジンパーティーもやりましたし、ラブホ女子会やホームパーティーも好きです。

原田 もう「歩くトレンド辞典」ですね(笑)。ちなみに、ホームパーティーってどんなものですか?

Hさんの参加するホームパーティー

Hさん 家主が料理を全部作って、みんなを招待して、お昼くらいから夜くらいまで遊ぶんです。私たちの場合、食費は家主持ちっていうルールで。

原田 欧米人みたいですね。海外の影響かな。Hさんの家でもやるんですか。

Hさん 私は新宿から電車で20分ほどの街にひとり暮らしをしているんですけど、パーティーは世田谷区にあるマンションでやります。地方在住の両親が都内に借りてくれてるんですよ。普段は誰も住んでいないので。

原田 パーティーはどんな人と?

Hさん 大学に仲の良い男女十数人のグループがあるので、基本はその子たちと。でも誰かが他校の友達を連れて来ることもありますよ。私、人見知りしないんで、そういうのが楽しいんです。うちの大学は実家住まいの子が多いので、夏は一軒家の屋上でBBQもやります。そうだ、今日このあと(土曜日午後)もホームパーティーなんですよ。

Hさんの参加するホームパーティー

原田 パーティー三昧ですね。今日はどこで?

Hさん 銀座です。

原田 銀座に住んでる友達がいるんだ。すごいですね。

Hさん はい、先輩が住んでます。今日のメンバーは地元が一緒の女の子と、その共通の先輩と、先輩の友達が来ます。

原田 いつもパーティーでは何をするんですか?

Hさん ジュエリーや雑誌を見ながら、おしゃべりかな。

■渡辺直美は世界を変える

原田 地方にいた高校の時から、地元でけっこう派手に遊んでいたんですか?

Hさん 地味にプリ(プリクラ)撮って、サイゼリヤに流れるだけでしたね。県庁所在地にはクラブがあるんですけど、こっちみたいにオールウェイズ開いてないので……。

原田 オールウェイズ(笑)。

 ちなみに、今は上京して3年目だそうですが、トレンドの情報源は何ですか?

Hさん ファッション系はInstagramですね。コーディネートの参考に、おしゃれな人や好きなブランドのアカウントをよく見ます。

原田 ちなみに、Instagramでモデルや芸能人はフォローしないんですか?

Hさん 基本的に芸能人はフォローしてません。私、あまり日本の芸能人が好きじゃないんですよ。……あ、でも渡辺直美だけは見てます。あの人は世界を変えますよ! 世界を明るくする人だなと思ってフォローしてます。

原田 世界を変える(笑)。たしかに、彼女のInstagramのフォロワー数、すごいですもんね。理想の彼氏は「イケメンの外人」だそうですが(笑)、海外の人と接する機会は今までにあったんですか。

Hさん 海外旅行はよくしますけど、それ以外では短期留学が2回だけ。高校と大学で1回ずつ、両方ともオーストラリアです。

原田 いま外国人の友達はいますか。

Hさん いますよ。よく一緒にVISION(渋谷のクラブ、SOUND MUSEUM VISION)へ行く29歳の男性とか。日本で3Dプリンターかなにかの社長をやってるみたいなんですけど、詳しくはよく知りません(笑)。

原田 彼とはどうやって友達になったんですか。

Hさん 道案内です(笑)。渋谷の路上で道を聞かれて、仲良くなりました。話が弾んで、「どこ出身なの?」「ロサンゼルスだよ」「あ、この前行ってきたんだ」みたいな流れで。その時はそのまま別れたんですけど、後日たまたま道で再会して、友達に。

原田 完全にナンパですよ、それ(笑)。

■コロッセオで人が見えた

原田 今、大学3年生ですが、就職活動は?

Hさん 今は地元の小学校の英語教師を目指してます。小さい頃、英語教室に通っていたのがすごく楽しくて。

原田 なんで地元に戻るんですか。東京でも教師にはなれますよ。

Hさん ついこないだまでは、東京で就職しようと思ってたんです。この話、長くなるけどいいですか?

原田 どうぞ。

Hさん ちょっと前にイタリアに旅行に行って、コロッセオ(円形闘技場)に入ったら、人が見えたんですよ。

原田 人? 観光客じゃなくて?

Hさん いえ、昔の。なんて言うんですか、(殺し合いを)応援している人? 私、感受性が豊かなので(笑)。彼らのパーティーが見えた。

原田 えーと……時間を超えてコロッセオの観客が見えた、と。パーティーではないと思いますが(笑)。

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 共感する人もいれば、その浮かれた生活に眉をひそめる人もいることだろうが、こうした若者が、トレンドを広める一翼を担っているのは事実なのである。

デイリー新潮編集部

2016年4月26日掲載

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