地震でキャンセル相次ぐ九州観光…GW客はどこへ流れる?

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 よりによって黄金週間まで後2週間という最悪のタイミングで発生した今度の大地震。そのため熊本はもちろん、九州の名だたる観光地でツアーのキャンセルが相次いでいるという。ならば、彼らが目指すであろう次の観光地はどこか。

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地震で被害を受けた熊本城

 例えば、昨年の黄金週間中に九州新幹線(博多~熊本間)を利用したのは約39万人に上る。彼らが訪れる熊本の代表的な観光スポットといえば、熊本城に阿蘇山、黒川温泉など。隣接する大分県の由布院温泉も人気だが、九州でバスツアーを行っている西鉄観光バス(東京支店)の担当者はこう語る。

「震災以降、こちらにかかってくる電話の9割以上は予約の取消しの電話です。連休だけでなく、5月末やその先の予約までキャンセルが出ています」

 都内に本社のある中堅旅行代理店の担当者も、

「うちは、九州各地の旅行を扱っていますが、キャンセルは熊本や大分だけでなく、九州全体で発生しています。しかも、道路は封鎖されていますし、新幹線も復旧のメドが立っていません。我々にとっては大打撃ですよ。もう諦めるしかありません」

 とはいえ、せっかくの黄金週間である。代替地を探す人も少なくないはずだ。

 淑徳大学経営学部の千葉千枝子教授(観光経営学科)によれば、

「最近は、都市部には中国人など大量の外国人観光客が増えたため、日本人観光客がホテルを取れなかったり、取れたとしても高い料金の部屋しかないという状況が続いています。5月初旬といえば、北海道は少し寒い。そのため、南の観光地に行くのが、最近の黄金週間のトレンド。特に九州は、大都市からのアクセスも良く人気でした。太平洋側は、今回の地震が起きた中央構造線断層帯があるので、避ける方が多いでしょう。とすれば、鳥取や島根、福井あたりに行く方が増えると見ています」

■北海道でドライブ

「この辺りは、まだ外国人観光客が少なく、ホテルも取り易い。鳥取は砂丘があるし、島根には出雲大社があります。福井の美浜町と若狭町にある三方(みかた)五湖にはクルーズもあって非常に美しいところですよ」(同)

 旅行ライターの高田京子さんが指摘する。

「黄金週間は、東北や北海道では桜が満開の時期です。東北は温泉のメッカで、宮城には国内に11種ある泉質のうち9種が集まり、源泉数は370本と、とにかく温泉が多い鳴子温泉郷がある。青森には、十和田湖温泉郷があります」

 同じく旅行ライターの細内律子さんも言う。

「熊本の場合、菊池温泉や黒川温泉、草千里ヶ浜を通る阿蘇スカイラインを車で走るのが目的の方が少なくありません。北海道は阿蘇のように景色の良いドライブも楽しめますし、登別や洞爺湖などの温泉地もあります」

 ともあれ、金沢、京都、大阪のように外国人観光客がまだまだ少ない観光地が狙い目になるようである。

「ワイド特集 『熊本地震』瓦礫に咲く花」より

週刊新潮 2016年4月28日号掲載

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