今年はマスターズ7位でも 松山英樹に見た成長

スポーツ週刊新潮 2016年4月21日号掲載

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「最後まで諦めるな」

 と人は言う。それは、

「何が起こるかわからない」

 と表裏一体である。

 つまり、最後まで諦めないためには、“何が起こるかわからない”ことを信じなければならないのだ――。

 出場するだけでも名誉のマスターズ。昨年5位だった松山英樹(24)を取材する在米ゴルフジャーナリストの舩越園子氏は、彼が海外に本格進出した2013年の一件を思い出していた。

「初の全英で6位になった翌週のカナディアンオープンでのこと。アメリカに戻っていた私は、松山君が2日目に9位に浮上したところでもしやと思い、カナダに飛びました。でも、結局彼は16位でフィニッシュ。試合後、“最終日のスタート前に、優勝の確率はどのぐらいあると思っていたか”と尋ねたら、あっさり“ないです”と。彼は“何が起こるかわからない”ことを信じられないんだと、あのときは少々落胆させられました」

 しかし、今の松山は違う、と舩越氏は感じている。

「この4日間、松山君は“何が起こるかわからない”と何度も口にしたのです」

 3年間の経験が彼を変えた。極め付きは14年のザ・メモリアルトーナメント。ラウンド中にドライバーが折れるわ、ショットが観客を直撃するわ……だが、結果はツアー初優勝。何が起こるかわからない。他選手にも、そして自分にも。

 最終日、3位スタートの松山は前半でスコアを崩し、一旦は優勝戦線を離れた。

「でも、そこで諦めずにプレーを続けた。すると、首位のスピースが12番でまさかの7を叩いたのです」

 どよめく観衆。そのとき、隣の13番では、ひとつ前の組の松山がイーグルチャンスを迎えた。

「あいにくイーグルパットは外れ、14番、15番のバーディチャンスも逃し、7位で終戦。でも、粘り強さが格段に向上しました。これまでで一番我慢強く戦ったマスターズだったと言えるでしょう」

 諦めない心――松山がマスターズで育む果実。