「サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ」ではなかった「淀川長治」最後の言葉

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昏睡状態に陥る直前に言い残した言葉とはーー

 それもあってか淀川氏は、入院中もベッドを抜け出して講演(慶応大学)に出かけ、原稿の執筆も続けた。亡くなる前日も車椅子で『日曜洋画劇場』の収録をこなしている。そんな淀川氏が、枕元で「言い残したことがある」と美代子氏に告げたのは、昏睡状態に陥る直前のことだ。

「もっと、映画を見なさい……」

「最期まで本当に映画のことばかり。いい思い出ばかりですが、相当に変わり者だったと思います」

 そう振り返る美代子氏。誰よりも映画を愛し、映画に寄り添った淀川氏らしい最後の一言だった。

週刊新潮 2016年3月17日号掲載

「60周年特別ワイド 輝ける明日への遺言」より

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