百田尚樹氏「サイン会脅迫事件」を矮小報道する新聞の了見

社会2016年3月18日掲載

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 12日、兵庫県西宮市で開催された作家・百田尚樹氏の新刊『カエルの楽園』発売記念サイン会に対して、「爆破予告」の脅迫電話がかかってきたことはすでにお伝えした通りである。

 幸い、爆発物は発見されず、サイン会は無事に終了したのだが、だからといって許される話ではない。

 これは明らかな犯罪であり、言論弾圧である。兵庫県警西宮署は、威力業務妨害の疑いで捜査している。

 ところが、気になるのはこの事件のメディアでの扱いだ。

 たとえば、百田氏と「天敵」の関係にあるであろう朝日新聞を見てみよう。

 同紙では、この一件を大阪地方版のベタ記事でのみ報道。文字数にして200字足らずという扱いであった。産経新聞のように全国版で扱った新聞社もあるが、押しなべて反応は鈍い。

「サイン会爆破予告」にあった百田尚樹氏


 もちろん、どのようなニュースを大きく扱うかは、各メディアの裁量なのは言うまでもない。

 では、何が気になるのか。

 それは、「前例」との大きなギャップである。

 1997年、同じく作家の柳美里氏のサイン会に対しても、「爆弾をしかける」「催涙スプレーをまく」といった脅迫電話がかかってくるという事件が起きたことがある。この時は実際に中止に追い込まれたサイン会もあった。

 当時、新聞はこの一件を大きく扱っている。

 第一報に続いて、支援する人たちの声や、柳さんのコメントも大々的に紹介したのだ。
 朝日新聞では、記事以外にも読者からの声も複数掲載して、言論へのテロに対して屈するなというメッセージを強く打ち出している。

 同じ「作家」の「サイン会」への「脅迫」でありながら、明らかな扱いの差。

 個人の思想性や、その新聞との過去の関係性によって生じたものではないと信じたいところではあるが、百田氏の「問題発言」の際には大々的に報じ、声高に批判してきたことを考えると、何か意図があるようにも見えるのである。

デイリー新潮編集部