川崎中1殺人公判 目隠しで守られた「主犯少年」のゴマカシ供述ウソ供述【実名報道】

社会週刊新潮 2016年2月18日号掲載

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 2月2日から4日まで、3日連続で行なわれた「川崎中1殺人事件」の主犯少年に対する公判。傍聴席から顔が見えないよう、パーテーションで守られた凶悪殺人犯は形ばかりの謝罪の言葉を口にしたが、その供述には、数多のゴマカシとウソが隠されていた――。

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上村君が殺された現場に供えられた本誌(「週刊新潮」)の記事

 公判の中で検察側は、上村遼太君(当時13歳)が殺害された事件を「川崎事件」、その約1カ月前、横浜市の東急「日吉駅」近くの駐車場で上村君が主犯の舟橋龍一(19)に殴られ、顔に青アザが出来た事件を「日吉事件」と呼ぶ。「日吉事件」の後、上村君の友人や先輩が舟橋の自宅に乗り込む騒ぎが起こっているが、これについて舟橋は、上村君が先輩たちに“チクったからだ”と怒りを募らせる。そして上村君に“ヤキを入れるため”、「川崎事件」を起こすに至るのだ。

 法廷では、舟橋の家に乗り込んだ上村君の友人や先輩は「X兄弟ら」とされた。舟橋の弁護人は、舟橋がX兄弟らに対して感じていた恐怖について、次のように強調した。

〈(川崎)事件の1カ月前、A君(舟橋)はX兄弟やYら地元不良グループからしつこくつきまとわれて、多くの恐怖やストレスを抱えていました。過去に一度、A君は中学校時代に同様の経験をしたことがあります。自分がしてしまったことが何倍にもなって返ってくる、と自分の身を脅かされたのです〉(弁護側冒頭陳述)

“中学校時代の経験”とは、舟橋が同級生のX兄に殴られたことを指すようだが、

「舟橋が一方的な被害者みたいな雰囲気になってるのはマジあり得ないっすね」

 と、当のX兄本人は憤慨するのだ。

「中2の時、確かに舟橋にヤキ入れたけど、理由があったんです。俺の友達が舟橋に理不尽にボコボコにされたんですよ。殴られて四つん這いに倒れた時に、腹からも蹴り上げられたりして……。その友達、顔がパンパンに膨れ上がってたんすよ。それ見たら、やり返してやろうってなるじゃないですか。で、舟橋の家の近くにある公園で、鼻の辺りを1発殴ったんです」

事件現場に供えられた写真

■都合に合わせた話の「改変」

 また、「川崎事件」の10日ほど前には、舟橋らが賽銭泥棒をして得た金をX兄らに奪われたことがある、として法廷では以下のようなやり取りが交わされた。

舟橋の弁護人「カラオケ店で賽銭の小銭を広げていた時にはX兄たちはいた?」

舟橋「たまたま店にX兄たちがいて、トイレで会いました。しばらくしたら自分たちの部屋にX兄たちが入ってきた」

弁護人「X兄たちに賽銭を巻き上げられた?」

舟橋「X兄と一緒に部屋を出た後、X兄の友達に賽銭を取られたと後輩から聞きました」

 しかし、X兄本人は、このエピソードについても、

「前段のニュアンスが大分違う。トイレで舟橋とバッタリ会った時、あいつの方から自慢してきたんすよ。“今、賽銭泥棒やってんだけど、すげー稼げんだよ”みたいな感じで」

 と、こう話すのだ。

「それで“強がってんなー”と思ったんすけど、舟橋の部屋を見に行ってみたら、ちょうどテーブルの上に小銭とか札とかジャラジャラ置いて、仲間同士で山分けしてるとこだった。で、俺と舟橋が“腕相撲で5000円賭けようぜ”って話になって、俺が余裕で勝って、500円玉を10枚貰った。金賭けて遊んで勝っただけなんすよ」

 つまり、舟橋の都合に合わせて話が「改変」されているわけだ。

■軽すぎる求刑

「彼は検察官や弁護士、裁判官らの質問に、一瞬考えてから答える。その間に、なるべく自分に不利にならないようにするにはどう答えたら良いのか考えているように見えました」

 と、傍聴人の1人は言う。舟橋は殺人罪で起訴されているが、

「都合の悪い質問には、『覚えていません』『分かりません』と逃げ、反省しているとはとても思えない。検察は、懲役10年以上15年以下の不定期刑を求刑しましたが、軽すぎるのではないでしょうか」

 舟橋に対する判決は2月10日に下され、その後は、

「まず3月2日にB(共犯・傷害致死罪で起訴)の初公判が行われる予定です。残るC(同じく共犯・傷害致死罪で起訴)は未だに否認を続けており、初公判の日程も決まっていない。神奈川県警の捜査員は“舟橋だけではなく、Cの心の闇も相当深い”とため息をついていました」(記者)

 むごたらしいやり方で上村君の命を奪った殺人犯たち。彼らは自らが起こした事件について真正面から向き合うことのないまま刑期を終え、何食わぬ顔で社会復帰するに違いない。

「特集 川崎中1殺人公判 目隠しで守られた『主犯少年』のゴマカシ供述ウソ供述」より