川崎中1殺害事件・18歳少年の「反省」は信じていいのか

社会

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 川崎の中1男子殺害事件で逮捕された18歳の少年は、逮捕直後こそ否認をしていたものの、現在では犯行を認めたうえで、反省めいた言葉も口にしていると報じられている。しかし、凶悪事件の犯人が、そう簡単に反省するものなのだろうか。

 長年、受刑者の更生に携わってきた岡本茂樹立命館大学教授は、著書『反省させると犯罪者になります』の中で、加害者の「反省」には注意が必要だと警鐘を鳴らしている。岡本氏によれば、犯罪者に安易に「反省」を求めると、彼らは「世間向けの偽善」ばかりを身に付けるだけで、それは次の犯罪を生む素地になってしまうのだ、という。

「反省」が犯罪を生むとはどういうことなのか。加害者の心理とはどのように動くのか。解説してもらおう(以下は同書より。一部言葉を補っている)。

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すぐに反省する犯人は悪質

 重大な犯罪が起きたとき、新聞やテレビのニュースで、「まだ容疑者は反省の言葉を述べていません」「残虐な事件を起こしておきながら、まったく反省している様子はありません」といった言葉をよく耳にします。こうした報道を聞くと「あんなひどいことをしたのに、反省していないなんて、なんてひどい奴だ」「絶対に許せない」と怒りを覚えたことのある人は多いのではないでしょうか。

 しかし、自分が起こした問題行動が明るみに出たときに最初に思うことは、反省ではありません。事件の発覚直後に反省すること自体が、人間の心理として不自然なのです。もし、容疑者が反省の言葉を述べたとしたら、疑わないといけません。多くの場合、自分の罪を軽くしたいという意識が働いているか、ただ上辺だけの表面的な「反省の言葉」を述べているにすぎません。

 そのように考えると、犯罪を起こした直後に「反省の言葉」を繰り返す犯人(容疑者)は、反省の言葉を述べない犯人よりも「より悪質」という見方ができます。もちろん捕まったショックが大きくて落ち込んでしまい、謝罪の言葉しか浮かばないという場合もあるでしょう。

 しかしその言葉も反省とは違います。あえていえば、後悔です。

本音は「罪を軽くしたい」

 少年が犯罪を起こせば鑑別所に、大人が犯罪を起こせば拘置所に入れられます。その後、少年は「審判」を受けて、少年院に送致するのか家庭に返すのかなどの処遇が決められます。

 一方、大人は「裁判」を受けて、有罪か無罪か、そして有罪の場合、量刑はどうなるのかが決められます。

 それでは、審判や裁判を目前に控えた、鑑別所や拘置所に入所している少年や大人はどのような心理状態なのでしょうか。

 すべてとは言いませんが、大半の者は「早くここ(鑑別所や拘置所)を出たい」「自分の刑が軽くなってほしい」と考えています。「悪いことをしたのに、なんてことを考えているのか」と怒りの声が聞こえてきそうですが、事実はそうなのです。

 札幌少年鑑別所で行われた興味深い研究データがあります。鑑別所に入所している少年に対して、「迷惑をかけた人リスト」を作って、「迷惑をかけた人」に対して手紙を書かせようという主旨の研究です(※)。

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