爆発的な『おそ松さん』大フィーバーを知っているか?

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 いつの時代も、今どきの子が考えていることはよく分からないものである――。現在は紳士淑女になっている人士も、かつて一度はポーズを取った経験のある「シェー」でお馴染(なじ)みの昭和の大ヒット漫画『おそ松くん』。その新バージョンが今、大フィーバーを起こしているという。その名も『おそ松さん』。人気を支えているのは、なんと往年のファンではなく今どきの女の子。 

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 テレビ東京で毎週月曜日の深夜に放送中のアニメ『おそ松さん』。赤塚不二夫が生み出したおそ松くんをはじめとする6つ子が、20代になった設定の一話完結型アニメだが、昨年10月の放送開始以来評判を呼び、爆発的な人気を博している。

 例えば、月刊アニメ誌「アニメージュ」は、2月号の表紙に『おそ松さん』を据(す)え、6つ子のクリアファイルを付録にしたところ、

「1980年3月号で『機動戦士ガンダム』の女性キャラクター(マチルダ)を表紙にして以来の重版となりました」(編集部)

 また、1月号で『おそ松さん』のポスターを付録にした「PASH!」も、

「事前にツイッター上でポスターが付録だと紹介すると、僅か1日か2日の間でリツイート(引用ツイート)数が1万6000に到達。これまで1万を超えたことはなく、重版しました」(編集部)

 さらに、『おそ松さん』の番組のオープニング曲は、CD販売会社によれば音楽配信サイトで総合3位を記録し、『おそ松さん』イベントを開催中の東京・池袋の「ナンジャタウン」では、

「開園前に並ばれるお客様は、多い時で1000人以上になることもあります」(広報担当者)

 とにかく『おそ松さん』絡みは何でもヒットする状況なのである。しかも、

「お客様の9割以上が20代の女性です」(同)

 と、20代、そして10代の若い女性がファン層の中心だというのだから驚きだ。

■イケメン好きは恥ずかしい

 肝心のアニメの内容は、6つ子は全てニートで、加えてそれぞれがアイドルオタクだったり、ギャンブル好きだったりと、「しょうもない」。彼らがナンセンスでシュールで、他のアニメのパロディを厭(いと)わないブラックさを含んだコメディを展開する。こんな内容がなぜウケるのか。声優陣の豪華さも指摘されているが、

「6つ子がイケメンではない点が、腐女子(男性アニメ好き女子)を萌えさせる」

 と、『だめんず・うぉ〜か〜』で知られる漫画家の倉田真由美氏は分析する。

「イケメンキャラに萌えていると公言するのは、いかにも腐女子的で恥ずかしい。でも、『おそ松さん』の6つ子はイケメンじゃないし、誰もが知っているキャラなので、堂々とハマっていると言いやすいんです」

 なるほど、そうなんですか、シェー。あっ、じゃなくて、へー。

「また、アベノミクスの効果が喧伝されていますが、若い世代はそれを実感できていない。彼女たちは、ブランド趣味や『三高』志向を持たず、身近にいそうな男性像にグッとくる。今の女の子たちは、親近感が持てる『だめんず』の6つ子を愛しているんです」(同)

 平成のだめんずどもは、「我が世の立春到来。イヤミな富裕層なんて時代遅れさ」と、小躍りしているとか、いないとか――。

 お粗末さまでした。

「ワイド特集 禍福の立春大吉」より

週刊新潮 2016年2月4日号掲載

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