お先真っ暗ブラジルで「リオ五輪」はできるの?

国際

  • ブックマーク

Advertisement

 この夏、五輪開催期間に限って彼の国へビザなし渡航が可能になる。しかも、特別措置が施されるのは日加米豪4カ国のみ。

 ならば行くかブラジル。常夏の国のビーチには美女大国が誇るゴージャスなビキニ姿がさんざめき、サンバのリズムにカイピリーニャを傾けて……と決める前に、現地在住記者の話を聞いてみよう。

「かつては巨大深海油田発見に沸き、“神はブラジル人だった”と大統領が発言するほど万事順調でしたが、2013年から下降した経済はもはや危機的です」

 1月21日、通貨レアルは過去最安値を更新、原油安回復の見込みもない。インフレ率は10%超、南米初の開催で盛り上がるはずのオリンピックもチケットは半分しか売れていないという。

「テニスや馬術の会場整備も工事の遅延で契約破棄し、中断したまま、セーリングやトライアスロンが行われるグアナバラ湾は水質汚染がひどく、“巨大トイレ”の異名もあるのに改善の目処は立っていません」(同)

 どうにも先行きが暗い話ばかりだが加えて言うには、

「衛生状態も問題です。財政難から休業する公立病院が急増、リオデジャネイロ州知事は昨年末、180日に及ぶ“公衆衛生の非常事態”を宣言しました」

 医師会会長が〈五輪期間中に訪問外国人が病気になっても治療が困難〉と窮状を訴えたが、ジカ熱の大流行で事態はさらに深刻に。蚊が媒介するこのウィルスに妊婦が感染すると子供が小頭症になる危険があり、ブラジルでは昨年10月からの小頭症新生児数が3500人と急増した。

 治安も悪化している。路上強盗が増加し、昨年、8%という無惨な支持率を記録したルセフ大統領に対するデモが1月8日、リオなどで発生、参加者は暴徒化。

 現地在住のジャーナリスト大野美夏氏も言う。

「昨年から防弾仕様の車に乗っています。信号待ちで拳銃を突きつけられ、スマホなどを奪われる事件が多発、知人もやられました」

 この上、テロまで起きたら目も当てられない。

週刊新潮 2016年2月4日号掲載

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。