ゆうちょ銀行に「大量満期」襲来の一大事

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 約2カ月前に上場したばかりの「ゆうちょ銀行」に定額貯金(3年以上)の満期が大量に“襲来”する。利率は10年前の10分の1。金利に敏感な顧客が、預け替えを考えるのは当然。資金の大量流出を招けば、巨大金融機関の土台が揺るぎかねないのだ。

 定額貯金は一口1000円からで6カ月間は引き出せないが、半年複利で最長10年間の預け入れが可能。バブル期には、“10年預ければ、元金の倍になる”と言われた人気金融商品だった。今回満期が集中するのは、10年前のそれだ。経済誌の記者が当時を振り返る。

「日銀が2006年7月にゼロ金利政策を解除したことで、預貯金の金利が急上昇したのです。当時、3年以上の定額貯金金利は0・06%でしたが、1年後には6・67倍の0・4%まで“高騰”しました」

 満期の集中期間は、16年から3年程度続くという。あるエコノミストの見立てでは、

「ゆうちょ銀行の総貯金残高は約177兆1311億円。満期を迎えるのはその2〜3割にあたり、多い年には約10兆円前後に上ります」

 実は、ゆうちょ銀行では1980年度から10年ごとに集中満期が到来し、その都度、金利上乗せや懸賞金付キャンペーンなどで急場を凌いできた経緯がある。ゆうちょ銀行に“解約防止策”を聞くと、

「現時点で、公表できることはございません」

 メガバンクの中堅幹部が解説するには、

「ゆうちょ銀行の場合、その資金が国債購入の原資になっているので、口座解約に伴う資金の流出は一大事でしょう」

 防戦一方のゆうちょ銀行。ここを乗り切れても、2020年には、また満期の集中が到来する。

週刊新潮 2015年12月31日・2016年1月7日新年特大号掲載

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