新金融「フィンテック」で生活どう変わる?

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 2015年後半から、経済界では“フィンテック”なる言葉が飛び交っている。Finance(金融)とTechnology(科学技術)を組み合わせた造語で、経産省が研究会を立ち上げ、金融庁も相談窓口を設けた。で、我々の生活はどう変わるのか。

 みずほ銀行が銀行業界初のロボットによる資産運用助言サービスを開始して話題になった。だが、経済ジャーナリストの福山清人氏はこう指摘する。

「フィンテックは、従来の金融システムを破壊する存在になります。今でも、保険の申し込みや送金などはモバイル端末のワンクリックで可能ですが、数年後にはそれが主流になり、銀行の支店や保険の外交員の数が激減するはずです」

 また、フィンテックにより、融資や決済を担ってきた銀行に代わり、ITや流通などの他業種が台頭するというのだ。経済誌の流通担当記者によれば、

「ネット銀行や証券、カード会社を傘下に置く、セブン&アイ・ホールディングスなどは顧客の“財布の中身”のみならず、メガバンクが持ちえない購買傾向といった詳細情報を蓄積している。こうした情報を分析して、住宅ローンや教育ローンなども手掛けています」

 従来の銀行では各種ローンの利率は、どの顧客に対してもほぼ同じだったが、これも変化することになるという。

「フィンテックでは、ネット上で資金を調達するのでコストが安く済み、それを融資利率にも反映できる。そこで顧客の詳細データを持つネット銀行は、“与信情報”に照らして、顧客ごとに利率を変えるサービスを提供することになるでしょう」(福山氏)

 むろん、ネット主流の世の中にも落とし穴はある。サイバーテロに詳しいジャーナリストの山田敏弘氏が“警告”する。

「フィンテックが加速する一方で、情報管理の対策が追いついていない。そんな状況でサイバーテロが起きたら、個人や企業の情報がすべて流出する大惨事に発展しかねません」

 ITには疎い。そんな弱音を吐けなくなる世の中がやって来るのだ。

週刊新潮 2015年12月31日・2016年1月7日新年特大号掲載

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