噂される京都の闇社会との関係は? 解決が遠のいた王将社長射殺事件(3)

社会週刊新潮 2015年12月24日号掲載

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 12月13日に新聞各紙により一斉に王将社長殺害事件について「現場遺留品に組関係者のDNA」とあらたな事実が報じられた。なぜ京都府警は事件発生から2年を迎えるこの時期に報道を許したのだろう。

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京都四条大宮にある餃子の王将1号店

 事件発生直後、まず捜査員らが首を傾げたのは、銃声に関してであった。

 殺された大東社長は車を降りた直後に銃撃されたと見られ、発射された銃弾4発全てがその体に命中。1発は胸を貫通していた。が、捜査員がいくら現場周辺を聞きこんでも銃声を聞いたとの証言が出てこないのだ。

「犯行に使用されたのは、25口径の自動式拳銃であることが分かっています。これは手のひらサイズのコンパクトな拳銃で、殺人目的で使われるのは珍しいですが、38口径などの拳銃に比べれば発射音は小さい。それで銃声が聞こえなかったのか、あるいは、サイレンサー(消音装置)を装着していたか、特殊な布で拳銃をくるんで犯行に及んだのか……」(捜査関係者)

 銃声に関する証言が出てこないくらいだから当然、重要な目撃証言もなし。こうして、地取り捜査は早々に暗礁に乗り上げたのだ。

■京都の闇社会との繋がりに疑問

 その一方、別の班の捜査員は、大東氏及び会社が抱えていたトラブルを徹底的に洗い出していった。そんな中、捜査本部が注目したのが、王将の創業家である加藤家を巡る情報で、それは事件前年に発行された『京都と闇社会』という文庫本に収録されている〈餃子の王将脱税事件と部落解放同盟人脈〉との記事で詳しく紹介されてもいた。そこで、加藤家が〈トラブル処理〉で世話になっていた人物と指摘されているのが、

〈上杉昌也社長のことである。上杉氏は、部落解放同盟委員長の故上杉佐一郎の実弟としても広く知られ……〉(記事より)

 王将の創業者は福岡県出身の故・加藤朝雄氏で、3代目の社長を務めた加藤潔氏は朝雄氏の長男。彼は2000年、上杉昌也氏が代表を務める福岡県のゴルフ場運営会社への約90億円の貸付金問題の責任を取って辞任したのだが、

「こうした貸付金問題の後処理などを担当したのが、朝雄氏の妻の弟で、4代目社長に就任した大東氏だった。大東氏が上杉氏周辺との関係を切ろうとしていた、との情報もある。が、そうした話と事件を直に結びつける証拠や証言はなく、捜査は難航しています」(全国紙の社会部デスク)

■反応がよくない福岡県警

 あらゆる捜査が壁にぶつかる中、捜査本部にもたらされたのが、タバコの吸い殻に付着していた唾液のDNAが工藤会組員のものと一致した、との報だ。捜査員らは暗闇に光明が射しこんだように感じたに違いないが、その大事な“隠し玉”が報じられることを捜査本部が了承したのは一体何故だったのか。福岡県警担当記者によると、

「京都府警としては、昨年、工藤会トップの野村悟を逮捕するなど、“頂上作戦”を行ってきた福岡県警の協力が欲しい。そこで新聞各紙に大々的に書かせて世間にアピール。それによって、福岡県警を動かそうとしたのでしょう」

 年明けには、京都府警が福岡県警に対して正式に捜査協力を依頼することになる見通しだというが、

「福岡県警は、できれば王将事件には手を出したくない、と考えています。現状では、DNA型が一致した男が実行犯なのかも分からないし、指示したのが誰なのかも不明ですから……」

 と、この記者は続ける。

「京都府警としては、その男を別件か何かで逮捕し、何度か再逮捕して叩けば自白するのではないか、と安易に考えているのでしょうが、かつて“鉄の掟”を誇った工藤会はそれほど甘くはない。そして何より、福岡県警が恐れているのは、安易に王将事件に手を出して失敗に終わった時のことです。その場合、これまで苦労して積み上げてきた工藤会に関する事件の公判にも影響が出てしまう可能性がありますからね」

 是が非でも協力を仰ぎたい福岡県警の反応の鈍さは、京都府警にとっては誤算だったに違いない。捜査本部に出入りする幹部らの顔は、焦りで引きつってはいないだろうか――。

「特集 奥歯にモノの挟まった報道では読んでも理解不能! 新聞が一斉報道! 暴力団DNAで『王将社長殺人』捜査はこうなっている!」より