本命「原辰徳」大穴「中畑清」で始まった東京五輪監督レース

野球週刊新潮 2015年12月24日号掲載

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 老兵は死なず、ただ消え去るのみ――。そう語って退任した、当時71歳のマッカーサーはしかし、大統領選出馬への意欲を燃やし続けた。さて、元帥の野望と比べればG1レースと草競馬ほどの差はあれど、球界でも2人の“前監督”が、次なる名誉を得んとレースに参加。ついに、ゲートは開いた。

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中畑清

 競馬に喩えるなら、実績がウリの本命馬を、人気だけはヒケを取らない穴馬が必死に追う展開である。実際、レース序盤から、“ワカダイショー”こと原辰徳(57)のリードは圧倒的だ。

「原が巨人軍の監督を辞めたのは、東京五輪で日本代表監督に就任する布石だと囁かれています」 

 とはスポーツ紙記者。

「読売サイドは“1億円不倫”問題が報じられた3年前から原のクビを切りたかったものの、リーグ優勝7回、日本一3回という実績を前に二の足を踏んでいた。花道を用意しようにも、“終身名誉監督”にすれば、長嶋ファンからの批判は避けられませんからね」

 そこに浮上したのが、五輪監督というニンジンだった。ご承知の通り、先に開催されたプレミア12では、“ミスターホークス”小久保裕紀率いる日本代表が、対抗馬の韓国に劇的な逆転負けを喫してしまった。

「小久保が五輪まで監督を続ける可能性はまずなく、後釜として本命視されているのが原なのです。東京五輪の追加種目に野球が入ることはほぼ確実。しかも、追加種目を決める会議で座長を務めたキヤノンの御手洗冨士夫会長兼社長は、巨人軍の応援組織“燦燦(さんさん)会”の会長でもある。日本代表監督の人事に介入するのも容易でしょう」(同)

 やはり、ワカダイショー有利は揺るがない。だが、そんな堅いレースに波乱を巻き起こしそうなのが、“ゼッコーチョー”こと中畑清(61)の存在だという。

■観客が1・7倍に

“穴党”を自任する運動部デスクによれば、

「野球が五輪の正式種目から外されたのは興行収入が見込めないことが大きく、東京五輪では金メダル獲得に加えて、注目を集めることも重要になります。中畑はDeNA監督として4年連続Bクラスながら、その間に観客動員数を1・7倍にするなど、人気で群を抜いている。さらに、アテネ五輪では脳梗塞で倒れた長嶋さんに代わって監督を務め、凄まじいプレッシャーのなかチームを銅メダルに導いた経験もあります」

 確かに、ともに今シーズン限りで引退した2頭、もとい2人だが、日本シリーズやプレミア12の解説に引っ張りダコだったのは、ゼッコーチョーのほうだ。

「好不調で選手の起用や打順を大胆に入れ替える中畑の監督スタイルは、短期決戦の五輪向きです。また、選手や球団への根回しも巧い。何しろ、若手選手の奥さんの誕生日まで記憶して、お祝いの電話をかけるほどの気遣い屋ですからね。選手や記者、ファンからの人気を優先して、原よりも“華”がある中畑に賭けるのも手だと思います」(同)

 レースはまだ第1コーナーを回ったばかり。ゼッコーチョーは最後の直線で“ハナ”差の勝利を狙う。

「ワイド特集 サンタクロースのすべらない話」より