“谷垣幹事長を恫喝”自民党、財務省を「敵」にしてでも公明に媚びる「菅義偉」官房長官

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 軽減税率を巡る与党協儀の結果は、“庶民の味方”を標榜する公明党案を、自民党が丸のみする形で決着した。その背景には、創価学会とのパイプを政治的基盤にする菅義偉官房長官(67)による、公明党配慮の姿勢があった。

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 来夏に控えた、参院選挙。

「自民党にとって、公明党の選挙協力は欠かせませんが、今の官邸は公明党・創価学会に大きな借りを二つ作っています。一つは、平和を掲げる公明党に安保法制で大幅に譲歩をしてもらったこと。もう一つは、11月の大阪ダブル選で、安倍官邸と蜜月の大阪維新を勝たせるために、公明サイドに反維新の旗幟を鮮明にしないよう、自主投票にしてほしいとお願いしたことです」(大手メディア政治部デスク)

 こうした事情を抱えた菅氏は、9月の時点で、創価学会の佐藤浩副会長から、

「これ(自民党の方針である軽減税率が4000億円の枠内)では、参院選は戦えない」

 と迫られ、自公の選挙協力の見直しを匂わされると、以降、「近い」自民党ではなく、「遠い」公明党の意向に沿って動いていく。

■“谷垣辞任論”

 まず10月、そもそも軽減税率の導入自体に否定的な野田毅・前自民党税調会長の更迭を安倍晋三総理に進言する。

 次に、軽減税率の対象拡大を警戒する財務省の田中一穂事務次官に対して4000億円以上の財源を見つけるよう厳命し、田中氏が難色を示すと、その後、田中氏と同省の佐藤慎一主税局長に、官邸への出入り禁止を申し渡した。

 さらに、与党協議にあたっていた自民党の谷垣禎一幹事長が、軽減税率の対象を生鮮食品に限定すべきだとして譲らないと、

「12月上旬、菅さんはそれまで谷垣さんの姿勢に共鳴していた二階さん(俊博・自民党総務会長)に会い、公明党案に賛成してくれるよう懐柔を試みました。すると12月8日に二階氏は、『(4000億円プラス)数千億円で公明党が選挙協力してくれるなら安いもんだ』と、近しい政界関係者に漏らし、豹変するに至ります。こうして、谷垣さんを孤立させた。菅さんは、『そんなに(対象拡大が)イヤなら、谷垣さんは(幹事長を)辞めりゃいいじゃないか』と、谷垣辞任論にまで言及したと言われています」(自民党関係者)

 実際、経済ジャーナリストの須田慎一郎氏が説明するには、

「12月9日、菅さんは谷垣さんを官邸に呼びつけ、『参院選に責任が持てるのか』と、恫喝する形で軽減税率の対象を広げるよう指示しています」

 このように、自民党、財務省を「敵」に回しながら、公明党に媚びる動きを見せた菅氏。野田氏や、野田氏の後任として自民党税調会長の座に就いた宮沢洋一・前経産相が不快感を示すのも当然で、それどころか、

「内閣の重鎮である麻生さん(太郎・現財務相)も、12月上旬、『君は本当に総理の意向を踏まえて振る舞っているのかね』と菅さんに直接伝え、官房長官の強権ぶりを訝(いぶか)っていました」(同)

「特集 軽減税率を政争の具にした愚! どこへ行った財源と財政再建! 公明党に6000億円を貢いだ『菅官房長官』の前方視野」より

週刊新潮 2015年12月24日号掲載

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