神酒から酒器まで、歴史と文化を辿る/『酒』

食・暮らし 2015年10月号掲載

 一九六八年創刊の「ものと人間の文化史」叢書は、派手さはないが味わいに富むシリーズだ。道具や食べ物、技術など、かつて日本人の生活に密着していた具体的なものを通じて、文化・文明の基礎を問い直すというのが趣旨で、ほぼ半世紀間、毎年数冊の刊行を重ね、最新刊の本書は一七二冊目になる。『狩猟伝承』『蛇』『石垣普請』『かまど』などユニークな既刊は少なくない。

 酒(日本酒)といえば、日本人の儀礼と食生活になくてはならぬ必須のアイテムで、シリーズ格好のテーマとしてもっと早い時期に刊行されていて不思議はないが、どうしてか今回初めてのラインアップとなった。

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