人は120歳まで生きられるから還暦「ドクター南雲」3つの忠告

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■何のために長生きするのか

 最近、よく週刊誌で高齢者もセックスすべきだという記事が載っています。

 女性は閉経で女性ホルモンが殆ど出なくなりますが、男性は理論上、死ぬまでセックスが可能であり、還暦でも関係ありません。

 しかし、現実には「この年齢ではもう出来ないだろう」といった先入観を持っているために、セックスに挑戦しない人が多い。もちろん、パートナーの女性が年配であれば断られるケースもある。すると、面倒くさくなって、結果的にセックスに関心を持たなくなってしまうのです。

 しかし、米ピッツバーグ大学のバーナード・コーエン教授の研究「寿命短縮日数」によるとパートナーがいる男性は長寿の傾向がある一方、いないと8年も寿命が縮むという結果も出ている。また、生理的な作用から見ても、性的興奮によって自律神経が活発に機能し、血液循環が促されます。

 ですから、まずは自分の性機能が正常であるかどうかを確認してみましょう。実際、「朝勃ち」がなくなってしまったような方でも、アダルトビデオを見て勃起することはよくある。真面目な話、還暦だからこそAVを借りてきて、自分の機能を確認し、自信を取り戻すことも大事です。

 ちなみに、性機能をアップさせる方法としては、先のオメガ3脂肪酸の摂取が有効です。オメガ3の生成物であるDHAは、眼の網膜や脳の細胞膜の生成だけでなく、精液の原料にもなる。男性機能の維持にも効果的なのです。

 ただしセックスはあくまでもパートナーと良好にいるためや、若々しさのツールに過ぎません。セックスは生涯現役、でも、わざわざ無理はしないと心得ておきましょう。

 さて、ここまで還暦を過ぎてからでも若返り出来る方法について述べてきました。しかし、最後に考えて欲しいのは「長生きする目的とは何か」ということです。

 私は仕事柄、多くのがん患者を診てきましたが、例えば「あと3年の命」と聞かされたとき、「家族との生活や仕事をやり遂げたい」と答える人が圧倒的に多い。すなわち、充実した日常こそが人生の目的であったと気付く人が一番多いんです。だからこそ、目標を困難にするような不摂生や寿命を短くするような行為は慎まなければならない。

 私がお伝えした長寿法は、決して難しいことではありません。還暦を過ぎてからの人生は日一日をどう過ごすかが大事。そのことに気が付けば、おのずとやる気が出てくるはずです。

南雲吉則(なぐも・よしのり)
1955年生まれ。東京慈恵会医大卒業。乳腺専門医、医学博士。癌研究会付属病院などを経てナグモクリニック総院長。著書に『「空腹」が人を健康にする』『50歳を超えても30代に見える生き方』など

週刊新潮 2015年10月22日号掲載

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