専門家に聞く「熱中症」「夏バテ」を防ぐ最新常識 「“縁側にたらい”は雰囲気だけ」

ドクター新潮 医療 熱中症

  • ブックマーク

Advertisement

■湯船につかるのは良い、ただし…

 では『太郎坊』に描かれた湯船につかって茹蛸になる行為も時代遅れなのか。

「汗というのは体温を調節するために出てくるもので、これを司っているのが自律神経です。汗を流さないとそれが弱って体温調節機能が働かなくなっていきます」

 と話すのは、新渡戸文化短期大学学長の中原英臣医師である。理想はできるだけ冷房に当たらずに自力で体温を調節すること。その意味で汗を流す機会を積極的に作りたいところだが、なにしろ現代人は忙しい日々を送っている。

「だから」

 と、中原氏が力を込める。

「最大のチャンスは入浴時。暑いと汗をかきたくないのでシャワーで済ます方も多いと思います。ですが、これでは体の汚れはとれても、疲れがとれません。湯船で体温を上昇させ汗を流す。血行が良くなることで疲れがとれるのです」

 体温より少し高め、38度ほどのぬるめのお湯に20分つかり、ゆっくりと汗をかき続けるのがいい。そして中原氏はこう付言する。

「風呂あがりもいきなり冷房の効いた部屋に入るのではなく、自力で体温を下げるようにしてください」

 しかし物事にはすべて表と裏がある。『ヘルスプロモーション推進センター』の岩室紳也代表(泌尿器科)が渋面をつくって、殿方に対してこんな助言をする。

「新陳代謝という観点から、40度近くの湯加減で長風呂は良いのでしょう。ただ、睾丸にしてみたら、“悲鳴をあげる”レベルなのです。睾丸を温めると精子に元気がなくなりますから。したがって、風呂からあがってもすぐに下着をつけない、ブリーフのようなぴったりくっつくタイプは避けるなど、ちょっとした配慮をしてもらいたい」

「特集 猛暑の夏の健康にいいのはどっちだ?」より

週刊新潮 2015年8月13・20日夏季特大号掲載

前へ 1 2 3 次へ

[3/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。