毎晩一話ずつ怪談が呟かれる… 現代の百物語はTwitterから 作家舞城王太郎氏の野心的な試み

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 奥まった真っ暗な部屋に100本の灯を並べ、怪談を語り終えるたびに1本ずつ火が消され、100本目の蝋燭が消された時、真の化物が姿を表すといわれる百物語。現代の百物語は暗い奥まった部屋から場を移し、スマートフォンを通し送られてくる……。

 小説家・舞城王太郎さんの『淵の王』(新潮社刊)の発売を記念し、毎晩深夜に怪談を一話ずつツイートするアカウントが話題だ。アカウントは「深夜百太郎」@midnight100taroの名前で5月24日から配信を開始。100日間にわたり百話の怪談が語られる予定だ。7月上旬現在すでに三十話以上語られている。

 毎晩一話完結で、数十ツイートに分けて配信。舞城氏の独特な口語文が140文字の制限のなかで際立ち、恐怖に拍車をかける。

 舞城氏は1973年生まれ。ミステリーから純文学まで幅広く執筆。映画や現代美術にまで活動を広げている。オリジナル作品としては6年ぶりの新作長篇となる『淵の王』は文芸誌に掲載されながら怖すぎると話題に。怖いのに読む手が止まらず、ラストに待つ感動に舞城氏の新たな代表作との呼び声も高い。

 Twitterでの百物語もその野心的な試みが話題となっているが、この企画にはナナロク社が協力している模様。また各話の最後に使用されている写真は佐内正史さん。モノクロの写真が不安を煽り、印象的な風景が恐怖とともに次の日まで頭のなかに残ってしまう。

 百話が語り終えられる予定の8月31日の深夜、一体何が起こるのか。@midnight100taroをフォローし確かめてみるには少々勇気が必要だ。

デイリー新潮編集部

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