まさかの乳酸菌ゼロ! 荒れ果てた「週刊新潮」記者4名の「腸内フローラ」をどうする?

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■白ワインの「秘密」

「端的に言えば、4人とも大腸がんまっしぐらです」

 と手厳しいのは、医学博士で管理栄養士の本多京子氏である。

「この20代女性の場合、問診票には青魚や野菜を“ほぼ食べない”一方で、脂っこい食品と肉類は“ほぼ毎日”とあります。男性3人も、肉はほぼ毎日なのに、野菜は週3回程度……。週3でなく、一日3回食べるのが当然でしょう」

 善玉菌のエサとなる豆や根菜等の食物繊維、そして発酵食品が不可欠なのは重々承知ながら、規則正しい生活など望むべくもない。そこで、

「少し考えるだけで、食生活はずいぶん変えられます」

 工夫の賜物である“手軽レシピ”を披露してくれた。

「帰宅して煮豆を作ったり、泥のついたゴボウを洗って料理とは、なかなかいかないでしょう。でも今は、コンビニにもお惣菜パックがあります。里芋や人参、レンコンやシイタケが入ったものを買ってきて、そのまま鍋に入れ、お湯と麺つゆに豆腐を加えれば、けんちん汁の出来上がりです」

 先に指摘された青魚も、専門家の手にかかれば、

「サバの水煮の缶詰を丸ごと鍋に入れ、冷凍野菜とだしの素と味噌を加えれば、即席アラ汁となる。朝ご飯も工夫できます。食パンにクリームチーズと煮豆をつぶして塗れば、それだけで発酵食品と食物繊維が一緒に摂れる。ヨーグルトには、1個でバナナ2本分の食物繊維が摂れ、一日に必要なビタミンの7割が摂取できるキウイを混ぜて食べればよいのです」

 食生活崩壊の第一歩ともいえる夜の会合に際しても、

「予めおにぎりを一つ食べておき、飲食店では枝豆など野菜中心に食べます。空腹だと、どうしても肉や炭水化物に手が出てしまいますが、おにぎり一つでそんな“欲”も抑えられるはず。それから“締めのラーメン”でなく“締めのヨーグルト”にしましょう。睡眠中は交感神経より副交感神経が優位に立ち、胃液が薄くなる。菌が死ににくくなるので、寝る前に食べれば腸に届く割合が増えます。チーズや納豆でもよいですが、またお酒が飲みたくなるので、やはりヨーグルトが最適でしょう」

 目から鱗が落ちるお話だ。そのヨーグルトについて、

「一日l00グラムは食べてほしいところです。水切りヨーグルトがよいのでは」

 とは、同じく管理栄養士の堀知佐子氏である。

「ボウルにざるを乗せ、上からキッチンペーパーを2、3枚重ねて敷き、普通のプレーンヨーグルトを入れてラップし、冷蔵庫で一晩置く。これで完成です」

 主食として食べるには、「ヨーグルト丼」が最適だという。

「丼ご飯の上にかけ、鰹節と卵黄を乗せて醤油を加え、万能ねぎを振りかけて出来上がりです。または1~2センチの厚さに切って黒胡椒と塩をかけて食べても美味しいですし、豆腐の上に乗せて鰹節やショウガを振りかけ、オリーブオイルや醤油をかければ『ヨーグルト奴』にもなります」

 いずれもクリームチーズのような濃厚な味わい。いっそ肴に、と思い巡らす向きもあろうが、酒など腸内改善の対極に位置するはず。それでも、ソムリエの資格を持つ前出の青木院長は、こう言うのだ。

「深酒は別として、実は腸内フローラにとっても“酒は百薬の長”が当てはまります。白ワインに含まれるリンゴ酸は、悪玉菌を退治し、善玉菌を増やす方向に働いてくれるのです。中でも酸味を和らげるマロラクティック発酵をしていない安価なシャブリ、仏ロワール地方のミュスカデ、アルザスのリースリングなどがおすすめで、適量はグラス2~3杯。白ワインをよく飲む人の方が大腸がんの発症率が減るというデータもあるくらいです」

 修行僧のような禁欲生活を送らずとも、お花畑は十分耕せるというわけだ。

週刊新潮 2015年5月7・14日ゴールデンウイーク特大号掲載

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