野菜の「食べ時」はいつなのか? 見た目と鮮度は比例しない

社会

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 旬の野菜が美味しいというのは誰にでもわかることだろう。そしてもちろん鮮度のいいもののほうが基本的には美味しいはずだ。

 しかし、実際に買う際にそれを見分けるのは難しい。『キレイゴトぬきの農業論』(新潮新書)の著書がある有機農家の久松達央氏によれば、「見た目がパキパキしているから鮮度がいいとは限らない」という。

 近年、コールドチェーンという冷蔵輸送技術が発達したことで、流通中の変質が抑えられるようになっている。そのため、見た目は新鮮そのものでも、収穫は数日前、という葉物野菜も珍しくないのだ。

 久松氏は、知人の農家から聞いた話として以下のエピソードを同書で紹介している。その農家は真夏に小松菜の栽培をしていた。その時期の小松菜は生育が早いので収穫に適している時期はせいぜい3~5日くらい。しかし、その間に集中して出荷しても需要とのバランスがとれない。そこでどうしているのかを尋ねると、

「ちょうどいい大きさでまとめて収穫してしまって、大きな冷蔵庫でごく低温で管理する。すると、2週間以上にわたって出荷できるんだ」

 下手をすると「見た目はパキパキ、収穫は2週間前」という野菜まで出回っているという。そういう野菜は、味が落ちるのは言うまでもない。

一番左の小さなオクラが、1日から1日半で
右の大きさにまで成長する。

 また、収穫の時期がちょっとでもずれると味が落ちるということもあるようだ。写真にある3本のオクラをご覧いただきたい。ずいぶん大きさが違うが、一番左の小さなオクラが、1日から1日半で右の大きさにまで成長するという。(写真は同書より)

 もちろん、この大きさの差は味や食感にも影響する。さらに1日置くと、筋っぽくなってもう食べられなくなるそうだ。

 食品の偽装表示の問題について報じられる際には、「店の説明をうのみにするのではなく、最終的には自分の舌を磨いたほうがいい」という教訓がよく言われている。しかし、その舌を磨くためには、やはり知識も仕入れておいたほうが良いということだろう。

デイリー新潮編集部